ITTOの協力で世界初の地域認証制度が承認される

2022年1月27日

複数フェーズに渡って実施されたITTOの「アフリカ地域の持続可能な森林経営の促進(Promotion of sustainable management of African forests)」プロジェクトの活動の様子。ガボンのコンセッションで監査役が森林経営者グループに面会している。写真撮影:O. Ahimin

横浜、2022127日:PEFC森林認証プログラム(Programme for the Endorsement of Forest Certification)が世界で初めてとなる地域認証制度を承認しました。この地域認証制度は、ITTO加盟国であるカメルーン、コンゴ共和国とガボンに適用され、20年近くに渡り実施されたITTOの協力の成果となります。

コンゴ川流域に対するアフリカ圏認証制度(Pan African Forest Certification:PAFC)が、国際熱帯木材技術協会(ATIBT)の主導によりPAFCカメルーン、PAFCコンゴ共和国、PAFCガボンの国レベル組織及びアグリビジネスを展開するオラム(Olam)社との協力で整備されました。PEFC森林認証プログラムのウェブサイト(英語)でも報告されています。

しかし、本制度の基礎は、2003年から2016年まで、3フェーズに渡って実施されたITTOのプロジェクト(英語)にて築かれました。このプロジェクトは、ITTO加盟するアフリカ諸国におけるアフリカ天然熱帯林の持続可能な経営のための原則・基準・指標(Principles, Criteria and Indicators: PCI)(2001年にITTOと旧アフリカ木材機関(African Timber Organization)が共同作成)の施行促進とプロジェクト対象国による各国の状況に合わせた原則・基準・指標の策定支援を目的として行われました。

前述のITTOプロジェクトでは、対象地域での信頼できる認証制度の普及に欠かせない森林監査役の育成とPCIに基づく森林経営計画の監査業務支援を中心に活動が行われました。

シャーム・サックル次期ITTO事務局長は、何年も前にITTOが立ち上げに協力した制度が今実を結んでいることは喜ばしいと話しました。

「カメルーン、コンゴ共和国とガボンがこのような大きな成果を上げたことに祝意を表します。この成果を通じて健全な林業運営が行われれば、高価値市場への参入が実現し、またそれが持続することも可能となり得ます。」

「これは、国を主体とするITTOのプロジェクトで、持続可能な森林経営と持続可能な熱帯木材貿易に向けて加盟国が大きな正の転換を遂げた新たな事例です。」

PEFCのウェブサイトによると、カメルーン、コンゴ共和国、ガボンの3か国は、効果と範囲の最大化、資源と知識の共有、森林認証制度の策定と運用にかかるコストの削減を目的として、コンゴ川流域に対するPAFCの創設に共同で携わりました。この3か国では共通の言語が話されており、林業を取巻く状況が類似していることから、統一制度の設立が可能となりました。

PAFCコンゴ共和国の代表であるブライス・セベリン・ポンギ氏は、「3か国に共通の制度があるということは、参入可能な市場のアクセスが一段と増えるということです。」と述べました(PEFCの報告からの引用)。「さらに、監査役向け研修で扱う基準が一つだけでよいため、研修の効率化が図られ、認証機関にとっても有用性が上がります。認定の点でも、この地域に開設する必要のある認定プログラムが一つでよいことから、この統一制度はプロセスの簡略化につながります。」

同3か国にあるPAFC機関は現在、この地域認証制度の施行と認証プロセスにおける企業支援に向けた準備を行っています。追加の監査役向け研修は2022年前半に予定されており、コンゴ川流域に対するPAFCをより多くの人々に知ってもらうプロモーションも行われる予定です。