ITTC61:パナマが生産国と消費国をつなぎ、持続可能な熱帯林の実現を促進
2025年10月27日、パナマシティ —国際熱帯木材理事会第61回会合(ITTC61)が本日、パナマシティにて開幕し、生産加盟国および消費加盟国間の協力強化、ならびに持続可能な森林経営の促進と、持続可能なかたちで生産された木材および林産物の貿易多様化に対する新たなコミットメントが呼びかけられました。
理事会で議長を務めるカルロス・エスピノサ・ペーニャ氏(パナマ)は開会にあたり、パナマという開催地の象徴的意義――パナマは生物多様性のホットスポットであり、また両半球をつなぐ架け橋であること――に言及しました。
同氏は「世界の架け橋であるパナマは、国際熱帯木材機関(ITTO)の役割と使命について議論を進めるうえで、生産国と消費国をつなぐ架け橋にもなり得ます。」と語りました。また、熱帯林が地球規模の環境課題の解決において中心的な役割を果たしていることを強調し、1週間にわたる会合期間中、建設的な対話を行うよう加盟国に呼びかけました。
「社会的包摂なくして森林開発はなく、公平性なくして持続可能性はあり得ません。("No hay desarrollo forestal sin inclusión social, ni sostenibilidad sin equidad")」と、エスピノサ・ペーニャ議長はスペイン語で述べ、森林開発と持続可能性における社会的包摂の重要性を改めて強調しました。
また、国際熱帯木材協定(ITTA)交渉に関する議論を進める機会であること、そして貿易、持続可能性、グリーンファイナンスといった新たな現実を反映する必要性を指摘しました。最後に、パナマ政府のホスピタリティと、ITTOの活動を支援するすべてのパートナーに感謝の意を表しました。
ITTO事務局長が協力と国際的なインパクトの重要性を強調
シャーム・サックルITTO事務局長は、開会式において各国代表および来賓を温かく歓迎し、分担金を納付した加盟国およびITTOの活動を支援するドナー国に謝意を表しました。
世界的に厳しい情勢の中で活動を続けるなか、同氏は、すべての加盟国がITTOの使命を支えることの重要性を強調し、多くの国がその恩恵を大きく受けてきたITTOの取組に引き続き関与するよう呼びかけました。
また、熱帯林が果たす気候変動の緩和・適応、生物多様性の保全、そして持続可能な開発目標(SDGs)への貢献というITTOの重要な役割を再確認し、これらが地球規模の三重の危機への対応に不可欠であると述べました。
「17のSDGsのほぼすべては、森林と人々に何らかのかたちで関わっています。」とサックル事務局長は述べました。「森林に依存して暮らす地域社会や人々の役割を忘れてはなりません。」
同氏は、今週の議論が実り多いものとなることへの期待を表明し、2026年に向けてITTOの活動を継続するために必要な決定を承認する上で、協力の重要性を強調しました。
コスタリカ、副大臣がITTO協力の成果を強調
ホルヘ・ロドリゲス・スニガ環境・エネルギー副大臣(コスタリカ)は、自国が長年にわたりITTOと強固なパートナーシップを築いてきたことを再確認しました。同氏は、持続可能な森林経営(SFM)を推進し、地域の能力を強化した数多くのプロジェクトを挙げました。
「コスタリカは、保全と持続可能な生産が両立できることを実証してきました。」と同氏は述べました。「ITTOの支援(動画)のおかげで、熱帯林の持続可能な経営に貢献し、森林バリューチェーンを強化し、イノベーションと地域参加を促進する象徴的なプロジェクトを数多く展開してきました。」
また、同氏は、コスタリカの2050年脱炭素化戦略に触れ、民間セクター、学術機関、地方自治体を巻き込むことの重要性を強調しました。「明確で分野横断的なモデルを通じてのみ、イノベーションと地域のウェルビーイングを促進する強固な林産業を確立できるのです。」と同氏は述べました。
ペルー、ITTOへのコミットメントを再確認
ペルー駐日大使ロベルト・セミナリオ・ポルトカレーロ閣下は、ITTOが取引と保全のバランスを取る上で果たす重要な役割を評価し、「ITTOは加盟国の経済的・環境的目標を調和させるための不可欠なメカニズムです。」と述べました。
ペルーは、ITTOの支援による60件以上のプロジェクトを成功裏に実施し、森林保全と持続可能な開発に大きく貢献してきたと、同氏は述べました。ペルーは今回の理事会で、産業強化、マホガニーの実験的プランテーション、森林再生のための造林モデルに関する3件の新規プロジェクトを発表しました。
「これらの重要なプロジェクトに必要な資金が本理事会で確保されると信じています。」と同氏は述べ、2027年にペルーで開催予定の世界林業会議への参加を加盟国に呼びかけました。
インドネシア、新たな国際熱帯木材協定(ITTA)の将来志向を提唱
インドネシア駐パナマ大使ヘンドラ・ハリム閣下は、新協定が現在の地球規模の課題と機会に整合するものでなければならないと強調しました。
同氏は「新たな協定は将来を見据えたものであり、加盟国が持続可能な森林経営および熱帯木材貿易の利益を最大限に活用できるようにする必要があります。」と述べました。
また、インドネシアはITTOへの長期的支援を改めて表明し、経済的、環境的、社会的利益をもたらす持続可能な熱帯林の利用促進に引き続き取り組むと述べました。
パナマ、国家的リーダーシップと国際的責任を強調
パナマ共和国環境大臣フアン・カルロス・ナバロ閣下は、政府および国民を代表して参加者を歓迎しました。
同氏は「私たちが知る地球上の生命は、急速に過去の教訓となりつつあります。」と警鐘を鳴らしました。「熱帯林は生物多様性と地球上の生命を支える最後のフロンティアの一つです。」
ナバロ氏は、パナマが現在、土地面積の35%と海洋管轄区域の54%を保護し、カーボンネガティブを達成したことを紹介し、同国が環境保全の分野で主導的役割を果たしていると強調しました。
同氏は「熱帯林の未来を保証するためには、私たち一人ひとりの国が自国の責任を果たさなければなりません。」と述べました。「パナマはITTOを代替不可能な存在と考えており、機関および加盟国との協力を積極的に進めてまいります。」
また、持続可能性推進に向けたパナマの「1-2-3アプローチ」として、①現場での即時行動、②パナマ自然基金の設立、③国際的な誓約による環境協力の強化、の3つを概説しました。
理事会の様子
初日には、新しい国際熱帯木材協定(ITTA)の交渉、機関の財政健全性、加盟国の拠出金、ならびに緑の気候基金などの資金メカニズムを通じた資金調達の機会などが議題として取り上げられました。
午後開催された委員会は、財務と管理に関する委員会および経済学・統計・市場/林産業に関する委員会でした。
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理事会会合の詳細情報および各発表資料は次のページにてご覧いただけます(本文英語): https://www.itto.int/ittc-61/presentations
IISDレポーティング・サービスによる日次報告はこちら(英語): https://enb.iisd.org/ittc61-international-tropical-timber-council
















