理事会、ITTO事務局長の任期を延長

第60回国際熱帯木材理事会(ITTC)のハイライト。(英語)

2024年12月6日、横浜: 国際熱帯木材理事会は、2024年12月6日に開催された第60回会合の閉会日に、ITTO事務局長の任期を2年延長し、2028年1月31日までとする決議をはじめ、5つの決議を採択しました。

この全会一致の決議を受けて、多くの加盟国が発言を行い、サックル事務局長の資金調達の取組、協力的パートナーシップの強化、チーム志向のアプローチなどのリーダーシップを称えました。アン・タイラー議長は、すべての地域から多くの参加と出席があり、活発な討議が行われたことに勇気づけられたと述べました。[1]

今回の理事会によるもうひとつの主要な決議は、様々なプロジェクトの承認と、左記プロジェクトおよび承認済みのプロジェクト、事前プロジェクト、活動に対する資金提供の承認です。資金総額は430万米ドルで、加盟国が拠出を約束した任意拠出金から提供される予定です。コートジボワールにおけるアフリカン・バーウッド(Pterocarpus erianceus)の保全に関するプロジェクト(英語)1件が会合の場で全額出資されることとなり、他のいくつかのプロジェクトは部分出資を受けることになりました。

もう一つの重要な決議は、2006年国際熱帯木材協定(ITTA)第44条に関連する事項で、2029年12月6日に期限切れを迎える現行協定に代わる新しいITTAの交渉に関するものです。決議により、交渉プロセスの準備作業部会(PWG)の任務を第61回理事会会合まで延長することになりました。決議では特に、PWGに対し、事務局と緊密に協力し、コンサルタントの支援を受けながら、合意されたロードマップに沿って作業を進め、将来の交渉に向けて検討すべき要素の特定を最終化するよう求めています。PWGはオープンエンドであり、ITTO加盟国であれば誰でも参加できます。ダニエル・カール氏(米国)とヴェネスカ・ベタンクール氏(パナマ)が共同議長を務めます。

理事会はまた、これまで試験段階で実施されてきた組織の資金調達戦略の一環として、承認されたプロジェクトや活動を実施するためのプログラム的アプローチおよび4つのプログラムライン,[2] を継続することも決定しました。この決議により、コンセプトノート方式と並行して、1年に1回のレギュラープロジェクトサイクルが実施されることになります。

第5の決議は、ITTOが国連総会(英語)でオブザーバーの地位を得るためのプロセスを支援することです。これにより、ITTOはハイレベルの国際会議に参加しやすくなり、外部機関や資金調達メカニズムとの連携を強化することができるようになります。

5日目には、また、ITTOと一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)との覚書(MOU)が締結されました。RESTECは研究開発、啓発、人材育成を通じて、リモートセンシング技術の確立に取り組んでいます。覚書は、熱帯木材製品の持続可能な取引と熱帯林の持続可能な経営に関連する相互の関心分野の取組において、両組織間の協力の可能性を探るものです。

さらに5日目には、理事会は、経済・統計・市場、林業、財務と管理、再造林と森林経営に関する各委員会から報告を受け、それぞれ採択しました。パナマのカルロス・エスピノサ・ペ-ニャ氏が2025年の次期議長として迎えられ、パナマは理事会に対し、次回会合を2025年10月20日から24日にパナマで開催するよう要請しました。日本は、第 62回理事会を横浜で開催することを提案しました。

国連食糧農業機関(FAO)本部(英語)、国連森林フォーラム(UNFF)(英語)、SGEC/PEFCジャパン国際木材製品協会(IWPA)アメリカ(英語)の代表が閉会セッションに参加し、相互の関心に関わるさまざまな分野でITTOと緊密に協力することを強く希望している旨を表明しました。

アン・タイラー議長は理事会の閉会挨拶で、「今年は、私たち全員が同じ方向に向かって進んでいるように感じられ、このことはITTOの将来にとって大きな励みとなります。」と述べました。タイラー議長は、さまざまな重要な取組の中でも、PWGの作業がとりわけ重要であると指摘し、全ての加盟国がPWGに参加し、今回の理事会で示された善意を2025年につなげていくよう促しました。

サックル事務局長は、この一週間、全ての加盟国が強いコミットメントを示したことを嬉しく思うと述べました。また、議長の模範的なリーダーシップを称賛し、全委員会の委員長、副委員長、メンバー、ITTOの良き友人、サポートチーム、ITTOチームの1週間にわたる粘り強い活動に感謝しました。


[1] 閉会セッションで発言を行ったのは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、コスタリカ、コートジボワール、EU、グアテマラ、日本、ニュージーランド、パナマ、トーゴ、米国。.

[2] 理事会で承認された4つのプログラムラインは、1)合法で持続可能なサプライチェーン、2)生物多様性と生態系サービスの保全、3)森林景観再生とレジリエントな生計、4)新たな課題とイノベーション。


理事会の詳細、および、発表資料については、https://www.itto.int/ja/ittc-60/presentations/をご参照ください。

IISDレポートサービスによる会期中の毎日の報道は、こちら(英語): https://enb.iisd.org/ittc60-international-tropical-timber-council.

ITTC議長の任務を終えたアン・タイラー氏と次期議長のカルロス・エスピノサ・ペ-ニャ氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
第61回ITTC議長のパナマのカルロス・エスピノサ・ペーニャ氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTOと日本のリモート・センシング技術センター(RESTEC)が覚書に調印。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTOとRESTECが覚書に調印。写真:P.Sarigumba/ITTO
理事会で演説を行うシャーム・サックルITTO事務局長。写真:P.Sarigumba/ITTO
シャーム・サックルITTO事務局長と現在の議長のアン・タイラー氏とマレーシア代表団。写真:P.Sarigumba/ITTO
シャーム・サックルITTO事務局長とオーストリアのカタリーナ・クーメイヤー氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
ロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使とニュージーランド代表のラタ・ムダ氏。写真:P.Sarigumba/ITTO P.Sarigumba/ITTO
笑顔を見せる同席のオーストラリア代表とベナン代表。写真:P.Sarigumnba/ITTO
シャーム・サックルITTO事務局長とニュージーランドのアン・タイラー氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
EU、ハンガリー、オーストリア、イタリアの代表団。写真:P.Sarigumba/ITTO
林野庁の髙畑啓一氏、ITTOのテトラ・ヤヌアリアディ博士、外務省の 齋藤弘幸氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
国連森林フォーラムの高田実氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
発言を行うFAOのエヴァルト・ラメットシュタイナー氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
森林認証プログラム(PEFC)代表。写真:P.Sarigumba/ITTO
ゲァハート・ブロイルマンITTO事務局次長(総務)と通訳。写真:P.Sarigumba/ITTO
第60回ITTCのボランティアスタッフ。写真:P.Sarigumba/ITTO
ボランティアスタッフ。第60回ITTC閉会式にて。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTO事務局次長(貿易・産業)のモハメド・ヌルディーン・イドリス博士。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTO職員の鈴木舞子氏、石井香奈子氏、鈴木晶子氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTOシステム/マーケット・アナリストのリー・チアン氏。写真:P.Sarigumba/ITTO
作業を行うITTOのITチーム。写真:P.Sarigumba/ITTO
ITTO職員:P.Sarigumba/ITTO