木材に関する国際フォーラム、合法的で持続可能な木材サプライチェーンのための行動枠組みを発表

2024年9月12日

2024年GLSTF初日の本会議。写真:GGSC, ITTTO

2024年9月12日、マカオ:グローバル・リーガル&サステイナブル・ティンバー・フォーラム( Global Legal and Sustainable Timber Forum: GLSTF)は、木材サプライチェーンの関係者間の国際的な協力を強化し、木材産業の持続可能な発展を促進し、持続可能な開発目標(SDGs)と気候変動への闘いに貢献するため、「合法的で持続可能な木材サプライチェーン促進のための行動枠組み」を発表しました。

GLSTFは2023年にITTOとマカオの貿易投資振興院(IPIM)によって創設されたもので、同年、第1回フォーラムを実施しています。2024年開催のGLSTFには、40カ国以上から、政府、産業界、団体、企業、国際機関、学術界を代表する700人以上の参加者が集いました。

GLSTF2024の開会の辞で、シャーム・サックルITTO事務局長は、GLSTFは木材産業関係者の共同プラットフォームであり、持続可能な森林経営と、木材・木材製品の合法的かつ持続可能な利用と取引を促進するため、木材産業関係者間のネットワーキングとビジネス交流の強化を目的としていると主張しました。

フォーラム参加者によって承認された行動枠組みは、合法的で持続可能な木材サプライチェーンの構築を支援するための実践的な行動を見出し、実行できるようにするものです。(行動枠組みは文末からダウンロードできます)。

ヌルディーン・イドリス事務局次長(貿易・産業)は、サックル事務局長に代わって、「GLSTFは、持続可能な林業と合法的かつ持続可能な木材利用の実施を支援するために、サプライチェーン全体の木材セクター関係者を初めて結集させた、重要かつ革新的なフォーラムです。」と述べました。「私たちは今、本日発表された枠組みに概説されているように、具体的な行動でその活動を強化する必要があります。」

行動枠組みには、(1)パートナーシップ・ネットワーキング、(2)情報共有、(3)市場アクセスの円滑化、(4)認証とトレーサビリティのイノベーション、(5)革新的技術と技術移転、(6)持続可能な資金調達と投資の方法と手段、(7)産業クラスターと工業団地の開発、(8)能力開発と研修、という8つの行動分野が設定されています。

「これらすべての分野、そして、さらなる分野において、行動を拡大する大いなる可能性があります。」とイドリス博士は語りました。「私たちは、木材セクターとサプライチェーンに関わるすべてのステークホルダーに、自主性、開放性、透明性の原則に基づき、行動枠組みを共に実施するよう呼びかけます。」

GLSTF2024は、「有効で信頼できるグローバル木材サプライチェーンに向けて」をテーマに開催されました。2日間にわたって開催された同フォーラムでは、メインフォーラムと4つのサブフォーラム(木材の合法性と持続可能性に関する新たな貿易要件への対応、世界の木材市場における木材資源と統合、木材加工のための先進技術と機械、持続可能な林業のためのグリーン・ファイナンスと革新的な金融メカニズムと機会)、サイドイベント(ジェンダー平等と女性のエンパワメント、木と竹の建物に関する若者のリーダーシップ)、企業同士のマッチング、二者間会議、フォーラム成果の発表、産業展示会、記者会見など、多様な活動が行われました。参加者は、信頼性が高く効果的な国際木材サプライチェーンの推進に関する議題について論じ、多くの貴重な意見や提案に触れました。

木材貿易の専門家であり、GLSTF2024のファシリテーターを務めたルパート・オリバー氏は、このフォーラムは、現在大いに必要とされているリーダーシップを発揮していると述べました。

「議論の中で明らかになった大きな課題のひとつは、熱帯木材産業が熱帯林の維持に果たすことのできる、そして実際すでに果たしているポジティブな役割と、農村の生活にもたらすことができる貢献に対して、消費者の認識が欠如していることです。国の合法的で持続可能な林業システムの発展や、透明性の高いサプライチェーンの発展への強いコミットメントについては、林業セクター以外ではほとんど認識されていません。」

イドリス博士は「私たちは、熱帯木材セクターが現代の世界的な課題に取り組む上で大きな役割を担っていると理解しています。」と述べました。「しかし、これまでは結束が欠けていたため、前向きなメッセージがあまり表に出てきませんでした。我々は敵対するのではなく、パートナーとなる必要があります。」

「すでに世界の色々な場で、このようなパートナーシップを構築しようとする様々な取り組みが行われているという良いニュースもあり、GLTSFはこのプロセスを加速させる重要な役割を担っています。」とオリバー氏は語りました。

2024年GLSTFの写真はこちら

メインフォーラムのプレゼンテーションとビデオ(英語)はこちら

シャーム・サックルITTO事務局長の開会メッセージ動画(英語)はこちら

GLSTF2024の開会式に関する記事(英語)が、マカオ・デイリー・タイムズに掲載されました。

GLSTF2024の閉会式に関する記事(英語)が、マカオ・デイリー・タイムズに掲載されました。

合法的で持続可能な木材サプライチェーン推進のための行動枠組み(英語)のダウンロードは以下より。

関連するSDGs

合法的かつ持続可能な木材サプライチェーンは、熱帯地域の森林所有者から最終消費者に至るまで、すべてのステークホルダーに恩恵をもたらすだけでなく、森林に依存するコミュニティの収入源を多様化し、強化する可能性を秘めている。
2024年のグローバル・リーガル&サステイナブル・ティンバー・フォーラム(GLSTF)の参加者は、熱帯木材産業が持続可能な開発において果たすポジティブな役割について、最終消費者の認識を高めるため、一般への森林教育をさらに進める必要性を認識しました。

2024年のGLSTFは、木材セクターにおけるジェンダー平等の推進における女性の可能性について情報を提供するために、合法的で持続可能な木材サプライチェーンにおける女性の経験や主導的役割を共有する、”She power”に関する円卓会議を開催しました。

合法的で持続可能な木材サプライチェーンは、特に農村部において、包括的で持続可能な経済成長、生産的な雇用、適正な労働条件を促進します。
持続可能な木材サプライチェーンは、国内外の市場における購入者らの合法的で持続可能な林産物への需要を高め、彼らが熱帯木材生産国における持続可能な森林経営と法令遵守の推進力となるという好循環を生み出します。
持続可能なサプライチェーンとは、環境や社会への悪影響を最小限に抑えるものです。2024年GLSTFは、サプライチェーン全体の合法性と持続可能性を促進するだけでなく、炭素を固定し貯留する最も環境に優しい再生可能素材のひとつである合法的で持続可能な木材の利用が気候変動への適応と緩和の取り組みに貢献することも伝えました。

持続可能な熱帯木材サプライチェーンというコンセプトは、ITTOが設立以来推進してきた持続可能性の要素の多くを含むものであり、熱帯森林資源の保全と持続可能な利用の調和を促進するものです。

2024年のGLSTFは、政府、産業界、団体、企業、国際機関、学術界など、幅広い利害関係者の協力と対話の一例です。