世界木材指標レポート第1号を発表、ビジネス情報共有の新時代を切り開く

2022年12月9日

中国・マカオ特別行政区で開催されたGTIレポート第1号発表イベントの参加者ら。写真:GGSC

2022年12月9日、横浜:昨日発表された世界木材指標(Global Timber Index:GTI)マンスリーレポート第1号は、11月にブラジル、コンゴ、ガボン、マレーシア、メキシコで木材の生産と操業が縮小したと報告しました。本レポートによると、このセクターが平均以下のパフォーマンスとなった要因として、世界経済の縮小、国際需要の減少、アフリカの雨季などが挙げられています。

GTIは、木材貿易に関するビジネス情報とデータ共有を促進し、安定性と透明性のある予測可能なビジネス環境における関係者間の協力を促進する目的で、ITTOによって設立されました。GTIはGTIプラットフォームの一部を構成し、特殊な数学的モデルに基づいて主要な生産者や消費者の木材関連データを編集、検証、処理、分析、公表しています。

シャーム・サックルITTO事務局長は、GTIの最初の月報の公開は「活動としては小さな一歩かもしれませんが、木材セクター全体にとっては大きな飛躍につながる可能性があります。」と述べました。

サックル事務局長は、また、GTIは熱帯木材取引の透明性を高め、政策を改善するための重要なツールになるとの期待を示し、「GTIプラットフォームが完全に稼働すれば、木材に関する世界初の包括的な指標として機能し、徐々に木材産業の"風見鶏"に発展していくでしょう。」と語りました。

GTIの11月のマンスリーレポートは、ITTOと中国マカオ特別行政区の貿易投資振興院(IPIM)が共催したGTIプラットフォームと関連する世界の木材市場動向に関する国際ワークショップのハイブリッド会合で公開されました。同イベントには、12カ国から約170名が、直接またはオンラインで参加しました。

GTIプラットフォームは、ITTOとマカオIPIMの協力・共同の枠組みの一部として開発されており、IPIMはこの活動を財政的に支援しています。この活動は、同じく中国を拠点とするグローバル・グリーン・サプライ・チェーン(Global Green Supply Chains: GGSC)の事務局によって実施されています。

GTIプラットフォームの初期段階には、熱帯アジア、アフリカ、ラテンアメリカの7つのパイロット国と中国、約150の企業・法人が参加しています。第一回会合には、ブラジル、中国、コンゴ、ガボン、インドネシア、マレーシア、メキシコのフォーカルポイントと産業・企業部門の代表が出席し、プラットフォームとマンスリーレポートの構成について意見を述べました。

マカオIPIM会長代理のヴィンセント・ユー氏は、GTIマンスリーレポートの発行は、国際貿易協力プラットフォームとしてのマカオの役割を活用し、林産物の合法的かつ持続可能な取引を促進する取り組みの一環である、と述べました。また、マンスリーレポート発表イベントとワークショップはより多くの協力の機会を生み出すとし、共催したITTOに感謝の意を表しました。さらに、マカオIPIMは今後も関連団体と力を合わせ、より幅広いビジネスに新たな可能性を生み出していくと述べました。

GGSC事務局長のルオ・シンジエン博士は、これまでのプラットフォームに関する作業では、パイロット国のフォーカルポイントと企業の確認、プラットフォーム構築、コミュニケーション、GTIモデルの設計と最適化、オンライン技術トレーニング、レポートの作成準備と定式化に重点を置いてきたと述べました。またプラットフォームの成功には、フォーカルポイントと企業の継続的な支援と協力が不可欠であると述べました。

ガボン共和国 水・森林・海洋環境省の研究・統計・プログラム担当セントラル・ディレクターであるキャロル・オガンダガス氏は、ガボンの国家戦略および木材セクターの産業化に関する政策の策定について紹介し、それらはGTIプラットフォームの目的および期待される成果に沿うものである、と述べました。また、ガボンの木材企業は、GTIレポートを含むプラットフォームへの参加を希望していると述べました。

ブラジル機械加工木材協会(ABIMCI)副会長のイバン・トマセリ博士は、多くのブラジルの木材企業がGTIプラットフォームへの参加に関心を持っていると述べました。また、それらの企業は、国際的な木材需給に関する情報とデータ共有を改善することと、グローバルで環境に優しい木材サプライチェーンにおける持続可能な取り引きとパートナーシップを促進することを期待していると述べました。

パワーデコール・グループ会長のチェン・ジエンジュン氏は、大手フローリング会社の事例を紹介し、GTIプラットフォームへの参加への関心やメリットを語りました。ジエンジュン氏は、木材セクターはサプライチェーンの脆弱性、木材産業に対する偏見や誤解などの困難に直面していると指摘するとともに、パワーデコール社はGGSCとGTIプラットフォームの創設メンバーとして、ポストパンデミック時代に、法的かつ持続可能な枠組みの中で、安定的、効果的、かつ強靭なサプライチェーンを再構築するために、木材セクターのすべての関係者が協力することを強く望んでいると述べました。

GTIレポートの発表直後に開催された「世界の木材市場動向に関する国際ワークショップ」には、木材関連の企業、協会、団体、専門家、学者などが参加しました。参加者は、感染症流行後の時代における世界の木材産業の機会と課題、世界の木材市場の動向について検討しました。また、GTIプラットフォームの構築を継続し、木材セクターにおける情報およびデータの共有と交換の可能性を最大限に高めるための最善の方法について議論しました。

GTIレポートは以下よりダウンロードできます。

関連するSDGs

世界木材指標(Global Timber Index: GTI)は、木材取引に関するビジネス情報とデータ共有と、安定性と透明性のある予測可能なビジネス環境におけるステークホルダー間の協力を促進します。

世界木材指標は、持続可能かつ合法的に生産された木材と木材製品の責任ある国際取引を奨励します。

GTIプラットフォームは、アフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカ、マカオ特別行政区の政府と民間セクター間の連携を促進することを目的としています。