フィジーのマングローブの再生に関する新しいガイドラインと動画を発表

2022年12月8日

ナシライ女性グループは、ITTOプロジェクトの一環として、村の海岸沿いにマングローブの苗木を5,000本植えた。写真:Aporosa Ramulo Livani/フィジー林業省

2022年12月8日、横浜:フィジーの最も重要な海洋生態系であるレワデルタのマングローブと湿地の再生に関して、地域コミュニティと政府を支援してきたITTOプロジェクトは本日、その集大成と言えるフィジーのマングローブと湿地の再生に関するガイドラインと3本のビデオを公開しました。

このプロジェクトは、フィジー政府が国内の森林面積を増やすために行っている取り組みの重要な要素の一つです。

フィジー林業省のペーン・バレイナブリ事務次官は、「政府は、15年間で3000万本の木を植えようとしています。」と本日公開されたビデオで述べました。「ITTOのマングローブ再生・植林プロジェクトは、この目標に更なる価値を付与し、次世代のために、持続可能性のための文化を育むものです。」

フィジーは、パプアニューギニア、ソロモン諸島に次いで太平洋で3番目に大きいマングローブ林(推定面積4万6,600ヘクタール)を持ち、そのほとんどがビチレブ島とバヌアレブ島という2つの主要な島にあります。マングローブの最大面積はビチレブ島のレワデルタで、気候変動や過剰搾取による脅威にさらされています。

フィジーの林業省が実施したITTOプロジェクトの目的は、レワデルタのマングローブ資源を劣化した状況から回復させることでした。

本プロジェクトは多大な成果を上げています。例えば、沿岸やマングローブ湿地の再生と持続可能な経営を実証するためのサイトを設置し、コミュニティやその他の関係者と協力してマングローブに関する意思決定を改善し、マングローブの利用と経営に関する国のガイドラインを作成し、3本のビデオ制作などを通じて持続可能なマングローブ林経営の重要性に関する認識を高めました。

「マングローブの再生は、気候変動緩和と適応のための自然を基盤とした最良の解決策であり、フィジー経済にこれまで以上に大きく貢献する可能性があります。」と、バレイナブリ氏は述べ、「レワデルタのマングローブの商業目的の伐採と販売を禁止し、過剰伐採のから解放したことは、フィジーのITTOプロジェクトの大きな成果です。」と続けました。

ITTOプロジェクトは、デルタの地域社会に、より持続可能な生計手段を生み出すなど、多くの恩恵をもたらしています。

タイレブ県ネフカソウ村の女性グループリーダー、アラニータ・サルビバイは、ビデオの中で「汽水域のエビ池が私の村に与えてくれるものを、とても嬉しく思っています。エビなどを獲って、販売することで、コミュニティの財源を増やすことができますし、常にマングローブ資源に依存するのではなく、別の選択肢を持つことができるのです。」と語りました。

フィジーにおけるマングローブ再生・植林のための地域に基づく森林経営ガイドライン(英語)は、コミュニティがマングローブ資源をよりよく経営できるようにする目的のもとで、ITTOプロジェクトで実施したパイロット活動に基づいて作成されました。フィジー初のマングローブに関する「ハウツー」マニュアルであり、沿岸地域のコミュニティによるマングローブ資源の経営改善を可能にするものです。

本ガイドラインの目的は以下の通りです。

  • マングローブの再生と植林活動における関係者とその他の人々に教育の機会を与え、能力を強化する。
  • マングローブの再生と植林を計画、実施、モニタリングするための潜在的な選択肢と経営アプローチについて、各イニシアティブにコンセプトレベルの情報を提供する。
  • マングローブの保全と持続可能な経営に関する利害関係者と政府機関の対話を促す。
  • マングローブの保全と持続可能な経営を支援するために、民間および公的機関の意識を高め、関与を促す。

シャーム・サックルITTO事務局長は、フィジー政府がプロジェクトを無事に完了し、ビデオとガイドラインを発表したことを称えました。

「これらの成果物は、様々なグローバルな課題の最中に、人々、環境、経済の利益のために持続的なかたちで天然資源を利用することが極めて重要であると示しています。」とサックル事務局長は述べました。

「本プロジェクトの優れた点は、地域コミュニティが自分たちのウェルビーイングのために森林経営に参加しつつ、私たちすべてに利益をもたらす効果的な気候変動との戦いに寄与するということです。」

ITTOのYouTubeチャンネルから、ビデオを視聴することができます(英語)。

関連するSDGs

本プロジェクトは、養蜂、エビの養殖、養豚、女性のための縫製など、沿岸地域の代替生計手段をもたらしました。

このプロジェクトにより、6つの村の女性の能力が向上し、マングローブの経営や代替生計手段に関してよりエンパワーされました。

フィジー政府は、進行中のマングローブの消失から回復し、マングローブの保全と持続的な経営を実施し、国の気候に関する戦略やメカニズムにおいてマングローブの生態系サービスを考慮する必要性を認識しました。

マングローブと湿地は、海洋生物に不可欠な生態系サービスを提供します。

地域社会を巻き込んだマングローブの持続可能な利用は、人々、経済、環境に利益をもたらす効果的な資源経営アプローチです。

このプロジェクトは、フィジーの林業省、ITTO、およびコンサベーションインターナショナル(Conservation International)、南太平洋大学応用科学研究所(Institute of Applied Sciences of the University of the South Pacific)、太平洋共同体(Pacific Community)の土地資源部といった組織間の持続可能なマングローブ経営に関する協力を強化しました。