世界環境デーを祝って:地域の人々は再生可能な資源を作り出すことができる

2022年6月5日

インドネシアの北スラウェシ州の農業従事者たち。同州のチュンパカ栽培を活性化するITTOのプロジェクトの一環として、苗床管理の研修を受けている。Photo: Muh. Farid/MEFRDI

2022年6月5日、横浜: インドネシア・スラウェシ島の農業従事者は、ITTOのプロジェクトによって、在来種の植樹を通じた持続可能な木材供給の利点についての意識を高めました。このプロジェクトは、人々と環境にポジティブな成果をもたらすことを目的とした、熱帯林の保全と持続可能な利用に関するITTOのアプローチが機能した例の一つであり、世界環境デーを祝福する本日、ここで紹介します。

インドネシアの北スラウェシ州原産のチュンパカ(日本名:キンコウボク、エルメリリア亜種)は、18世紀から、昔ながらの木造住宅の建設や伝統的な楽器であるコリンタンの製造に広く使用されてきました。チュンパカの木は特徴的な香りと美しさを持ち、ミナハサ族の歴史と文化に深く関わっています。しかし、その人気は過剰収穫と木々の減少を招き、供給は次第に少なくなっていきました。

ITTOのプロジェクトは、北スラウェシ州の3つの地域で、プランテーション栽培によるチュンパカの持続可能な供給を増やす取り組みを開始しました。プロジェクト・トレーナーのディア・アリニ氏が、最近の「熱帯林ニュースレター(Tropical Forest Update)」にもプロジェクト内容について報告しています。

同プロジェクトは、マナド環境林業研究開発研究所によって実施され、チュンパカの造林技術の文書化、コミュニティにおける栽培知識の増加、3つの県にまたがる18ヘクタールのデモンストレーション・プロット(実証圃場)の開発、チュンパカ保全プログラムをサポートするコミュニティと政府の関心事項の調査、トレーニングの実施、リソースの統合的な管理計画の策定支援を行いました。

作業はまだ完了していませんが、この小規模プロジェクトのもとで状況は進歩し、有望な兆しを見せています。プロジェクトでは、2つの州で、生存可能な種子を生産できるチュンパカの母木を特定し、収集、保管、発芽の方法を提案しました。これらの方法は、現在、農業従事者、流通業者、およびコミュニティの他のメンバーに理解されており、誰もが利用することができます。また21の村で対話を行い、地域の人々にチュンパカの木を植えることの経済的および生態学的な利益について伝えました。

「チュンパカ・プランテーションの潜在的な利益と、既存のチュンパカ資源の保全についての地域の人々の認識は、今やかなり深まりました。」とアリニ氏は記事で述べています。

「地域の人々が自分たちの土地で、木々を再び受け入れているのを見るのは素晴らしいことです。」とシャーム・サックルITTO事務局長は語りました。

また、「熱帯林が炭素の貯蔵、生物多様性の保全、その他多くの製品やサービスにとって重要であることはよく知られています。」と述べ、「同様に重要なのは、これらの森林の内部や近くに住む人々の幸福です。このプロジェクトは農業従事者に、彼らの土地で木を育てることにより、直接的な利益がもたらされるとともに、地元の産業を支え、環境を改善することができると示しました。これは大変喜ばしいメッセージです。」と続けました。

プロジェクトはまた、チュンパカの保全と持続可能な利用のための政策決定に関する環境を改善し、統合的な管理計画を実施するための作業を開始しました。中央政府も地方政府も、チュンパカの持続可能な利用を確保するための政策に、統合的な管理計画を含むようにする必要があると、アリニ氏は述べています。

関連するSDGs

地域の人々は現在、彼らの土地に植樹することの潜在的な利益についてはるかに認識しています。これはITTOの熱帯林の保全と持続可能な利用についてのアプローチの有効性を示す一例です。

本プロジェクトは長期的には、在来種を植樹することによって、住宅や家具や楽器の製造のための持続可能な木材供給に貢献することになります。

持続可能な方法で生産された木材は、多くの炭素集約型の素材に対する再生可能な代替品であり、気候変動の緩和と適応の取り組みに貢献しています。

本プロジェクトは、自然林への圧力を軽減し、生物多様性、気候、人々にとって重要な自然生息地の保全を強化しています。