森林に関する協調パートナーシップ:持続可能な木材で、危機を脱しグリーン経済へ進む道筋が見えてくる

2021年7月19日

フィリピンにて、ITTOプロジェクトで開発された木材追跡システムの一環として、職員が在庫確認された木を起源として生産された材木をスキャンしている。写真撮影:フィリピン森林管理局(Forest Management Bureau)

横浜、2021年7月19日:森林に関する協調パートナーシップ(CPF)が持続可能な開発のための国連ハイレベル政策フォーラム(HLPF)で開催したオンラインイベントでは、新型コロナウイルス感染症の拡大が森林減少の抑止及び木材や森林製品の持続可能な生産と消費の増大の機会となるとの見解が示されました。

本イベント「危機下の森林の役割:森林減少抑止に向けた持続可能な生産と消費(The role of forests in time of crisis: sustainable production and consumption patterns to turn the tide on deforestation)」は2021年7月6日に開催され、100名以上が参加しました。

シャーム・サックルITTO事務局次長は、ITTOの合法かつ持続可能なサプライチェーンプログラムについて発表し、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が熱帯林セクターに及ぼした影響について話しました。また、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations:FAO)が主導する持続可能な世界のための持続可能な木材(Sustainable Wood for a Sustainable World :SW4SW)イニシアティブ等、生物多様性保全、森林再生、国際協力の分野でITTOが行っているイニシアティブ(うちいくつかはCPFパートナー機関との協同で実施)を紹介しました。

シャックル氏は、「林産物の持続可能な生産と消費は、循環経済アプローチを補完し、収入を創出し、社会・経済に恩恵をもたらし、同時に森林の価値も高める可能性を秘めています。」と話しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大による熱帯林への負荷は大きく、木材や林産物の需要と供給に影響が出ています。しかし、特に消費者向け建設市場で持続可能な木材の利用が増えたことは前進にもなりました、とシャックル氏は述べました。このおかげで持続可能な林業の収益が伸び、雇用がもたらされ、炭素を多く排出する鋼鉄やコンクリートといった建設資材の代用にもなるからです。

「森林がもたらす物品とサービスを維持しつつ森林劣化と森林減少を最小限に留めることが一刻を争うことに変わりはありません。持続可能かつ強靭な社会の再構築(Build Back Better)に向け、とりわけキャパシティビルディングと技術協力において途上国は現在これまで以上に支援を必要としています。」とシャックル氏は述べました。

本ウェビナーは、国連経済社会局(UN Department of Economic and Social Affairs:DESA)、FAO、ドイツ連邦経済協力開発省(German Federal Ministry for Economic Cooperation and Development:BMZ)、ガーナのKokoo Pa Farmers Associationの代表者が登壇しました。

登壇者と参加者から、新型コロナウイルス感染症の世界的流行をきっかけとして持続可能性により意識が向き、これを追い風として生産と消費のパターンがより環境に優しく健全な経済を促すものに転換するとの考えが示されました。


本ウェビナーの録画を視聴する(英語)

CPFウェブサイトの本ウェビナー紹介ページ(英語)

ITTOの発表資料のダウンロード(英語)

関連するSDGs

木材その他の林産物の持続可能な生産と消費は、循環経済アプローチを補完し、収入を創出し、社会・経済に恩恵をもたらし、同時に森林の価値も高める可能性を有しています。