理事会議長、政治的不透明感が増す中、共通の目的に集中するよう加盟国に要請

左からゲァハート・ブロイルマンITTO事務局次長(総務) 、ロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使、山中竹春 横浜市長、滝波宏文 農林水産副大臣、アン・タイラーITTC60議長、 シャーム・サックルITTO事務局長、ホルヘ・ロドリゲス・スニガ コスタリカ環境副大臣、ハジ・レン・タリフ・サレー マレーシア・サラワク州政府 都市計画・土地管理・環境副大臣)。写真:P.Sarigumba/ITTO

2024年12月2日、横浜: 本日開幕した第60回国際熱帯木材理事会(ITTC60)において、アン・タイラー議長(ニュージーランド)は、ITTO加盟国が一致団結し、持続可能なかたちで経営された熱帯林の重要性とITTOが果たす役割に焦点を当てるよう促しました。

タイラー議長は、生物多様性、天然資源、環境に対する圧力や課題がますます高まっていることを強調し続けている生物多様性条約や気候変動枠組条約の締約国会議に、理事会代表団の多くが参加していることを指摘しました。

「このような圧力や世界的な政治的緊張の高まりは、私たちが共通の目的のもとにここに集まらなければならない必要性を浮き彫りにしていますが、同時にそれはチャンスでもあります。」とタイラー議長は述べました。「持続可能な未来を確保する上で、熱帯林が果たす重要な役割は否定できるものではありません。しかし、私たちが目の前のチャンスをつかむためには、強力な組織が必要です。そこで、私から皆様方への挑戦です。私たちは共通の関心と共有する目的に集中し、この組織の活動を共に形成し、前進させていきましょう。」

開会の辞を述べるアン・タイラー第60回ITTC議長。写真:A.Knapp
ITTOの意思決定機関である国際熱帯木材理事会は、持続可能な熱帯林経営と持続可能な方法で生産された熱帯木材の取引を促進することを目的とした幅広い議題を討議するため、年に1回開催されます。今回の会議には、約180名の代表団とオブザーバーが参加しています。

開会式でのタイラー氏の発言に、日本の滝波宏文 農林水産副大臣も同調しました。
「ITTOは、現在そして将来において、さらに重要な役割を果たすことが期待されています。」と語る滝波宏文 農林水産副大臣。写真:P.Sarigumba/ITTO
「2021年の森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言に示された、2030年までに森林の消失と土地の劣化を食い止め、回復させるという目標を達成するためには、森林の持続可能な利用に貢献するイノベーションと、国際社会におけるさらなる協力が必要です。」と滝波副大臣は述べました。

滝波副大臣は「このような状況の中、ITTOは...熱帯林の持続可能な経営と熱帯木材の合法的な利用を担う唯一の国際機関として、現在そして将来においてさらに重要な役割を果たすことが期待されています。」とし、日本は林業・木材分野におけるイノベーションの創出と普及に貢献するITTOプロジェクトを支援してきたと述べました。また「今後も率先してITTOの取り組みを支援し、加盟国における持続可能な森林経営と木材利用の実現に貢献していきたいと思います。」と語りました。
第60回国際熱帯木材理事会の参加者を歓迎する山中竹春 横浜市長。写真:P.Sarigumba/ITTO
山中竹春 横浜市長は、ITTOと横浜市は30年以上にわたって緊密に協力しており、「横浜市にとって非常に貴重な関係」であると代表団に語りました。山中市長は、木材利用の促進を含め、ネット・ゼロ、自然共生、循環型経済の実現を目指し、横浜市が持続可能でよりグリーンな社会づくりに取り組んでいることを代表団に説明しました。
国際協力の重要性を強調するコスタリカのホルヘ・ロドリゲス・スニガ コスタリカ環境副大臣。写真:P.Sarigumba/ITTO
ホルヘ・ロドリゲス・スニガ コスタリカ環境副大臣は、気候変動と生物多様性の損失には、国際協力と責任ある取引に基づく集団的対応が必要であると述べました。

「ITTOはこの取組における重要なパートナーであり、私たちは共に、熱帯林が現在および将来の世代の命、雇用、ウェルビーイングの源であり続けることを保証することができます。」とロドリゲス副大臣は述べました。ロドリゲス副大臣は、前世紀末からのコスタリカの森林減少への取組と生物多様性の保全について説明し、ITTO加盟国に対し、熱帯木材の国際取引が持続可能で公平な発展の原動力となるよう、グッドプラクティスへのコミットメントを強化するよう呼びかけました。
マレーシア・サラワクにおけるITTOの長い歴史を語るハジ・レン・タリフ・サレー マレーシア・サラワク州政府 都市計画・土地管理・環境副大臣。写真:P.Sarigumba/ITTO
マレーシア、サラワク州のハジ・レン・タリフ・サレー都市計画・土地管理・環境担当副大臣は、持続可能な森林経営と持続可能な開発に向けた取組において、ITTOが30年以上にわたってサラワク州に提供してきた支援について概説しました。また、温室効果ガス排出量の削減、持続可能性の促進、カーボンニュートラルに向けた経済の多様化のためにサラワク州政府が行っている取組について説明しました。
ペルーにおけるITTOの影響について語るロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使。写真:P.Sarigumba/ITTO​​​​
ロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使は、ペルーとITTOとの歴史的な関わりと、持続可能な林業に関するペルーの取組を支えるITTOの価値について概説しました。

セミナリオ大使は「私たちは、持続可能な森林経営と合法で持続可能なサプライチェーンの推進を優先するプロジェクトに資金を提供してきたITTOの活動が価値あるものであると確信しています。」と述べ、ペルーがITTOを強化し、その目的を達成するために必要な行動に貢献するためにコミットしていることを再確認しました。
理事会に対し、当初の任期を超えて務める意思があることを報告したシャーム・サックルITTO事務局長。写真:A.Knapp
シャーム・サックルITTO事務局長は、理事会での声明の中で、ITTOは組織の目的に向かって努力を続けていると述べました。

「この38年間で多くの成果が達成されましたが、まだまだできることがたくさんあります。」とサックル事務局長は語りました。「これを実現するには、私たちが一丸となる必要があります。問題に共に立ち向かい、一つとなって取り組むことが必要です。」

サックル事務局長は、2026年初頭に終了する最初の任期を越えて務める意思があることを理事会に伝えました。「私たちは多くのことを成し遂げましたが、まだまだやるべきことがたくさんあります。」とサックル事務局長は述べました。「私にはまだエネルギーがあり、意欲があります。この困難な時期に、組織をリードしていきたいと思います。」
第60回国際熱帯木材理事会に参加したコートジボワール代表団。写真:P.Sarigumba/ITTO
理事会第1日目には、その他の議題に関する議論も行われました。そのひとつは、新たな国際熱帯木材協定(International Tropical Timber Agreement: ITTA)の交渉に関するもので、理事会は準備のためのワーキンググループから、2006年ITTAの実施状況のレビュープロセスの様式に関する勧告を含む報告書を受け取りました。この議題項目については、会期後半にさらなる議論が行われる予定です。

議題項目1、3、4、5、6、7、8に関する議論は完了しました。財務と管理に関する委員会、林産業に関する合同委員会も本日午後に招集されました。
会場のパシフィコ横浜で代表団を迎えるITTO職員。写真:P.Sarigumba/ITTO
理事会の詳細、および、発表資料については、https://www.itto.int/ja/ittc-60/presentations/をご参照ください。

IISDレポートサービスによる会期中の毎日の報道は、こちら(英語):https://enb.iisd.org/ittc60-international-tropical-timber-council
セッションに登録するインドネシア代表団。写真:P.Sarigumba/ITTO
歓迎レセプションで交流するITTTO事務局職員とマレーシア代表団。写真:P.Sarigumba/ITTO
歓迎レセプションにて。写真:P.Sarigumba/ITTO