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熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ

背景

2010年の国際生物多様性年と続く2011年の国際森林年という枠組みの中で、国際熱帯木材機関(ITTO)と生物多様性条約(CBD)事務局は2010年3月2日に覚書(MoU)に調印し、持続可能な熱帯林資源を管理するという共通目的のため、連携を強化することになりました。2010年10月と12月にそれぞれ、国際熱帯木材理事会(ITTC)とCBDはITTOとCBDの共同事業(Decision X/36とITTCDecision 6(XLVI)の決定を歓迎し、採択しました。この覚書は主に、ITTOの生産加盟国で森林生物多様性に関するCBDのプログラムを関係機関ととともに実施するためのITTO支援プログラムの開発(のちに熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブとなる)をはじめとする森林と生物多様性に関する共同事業を選定するために交わされました。この熱帯林の生物多様性のためのITTO/CBD共同イニシアティブの下で具体的なプロジェクト活動の基礎となるプログラムのドキュメントは、英語フランス語スペイン語 でご覧いただけます。また、www.cbd.intからアクセスできます。

 

目標と成果

熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブでは地域のステークホルダーが直接参加して熱帯林の生物多様性の保全を強化することで、熱帯林で起こる生物多様性が損失される主な要因である森林減少と劣化について対処することを目標としています。具体的には、イニシアティブはITTOの行動計画と生物多様性戦略計画2011-2020という共通の目標に焦点を当て、森林の生物多様性に関するCBDの事業の実施を通じて、生物多様性の損失を低減するためのITTO生産加盟国への支援を行います。

このイニシアティブは、ドナー各国の支援を受け、生産加盟国のパートナーとの緊密な連携により、主に下記の4つの成果を上げることを目指しています:
1. 生産林における生物多様性保全と劣化した森林と二次林の再生のために、地域コミュニティーの能力を強化する;
2. 特に緩衝保護地域に関連する森林保護地域における森林保全と管理の向上と越境地帯の森林保全;
3. REDD +の関連プロジェクトを含め、林業の介入で熱帯林の生物多様性を守る;
4. 生物多様性の保全と自然資源の持続可能な利用を通じた地域社会と先住民族の福祉の改善。

これらの成果については、森林モニタリングや持続的に複合的な利益を生み出すことに適した森林経営、侵入種に対する保護、熱帯天然林の価値の向上、土地利用の変化を避けるというような生物多様性の保護に特に重点を置き、持続可能な森林経営(SFM)を推し進めることで達成していきます。

 

生産林と森林保護に焦点を当てる

イニシアティブでは生産林、保護林の両方に重点を置きます。科学者たちによると、すべての陸生種の約3分の2を熱帯林が支えていると言われています。生物多様性戦略計画2011-2020のグローバルターゲットである保護陸域を17%確保するという目標達成のためには、特に越境保護地域を含む保護する価値の高い森林の保護地域の設置が引き続き必要となります。 現在、世界の森林のわずか13%が保護地域に位置していることを考えると、保護地域外の森林保全と生物多様性の持続可能な利用を促進することが不可欠です。 一般的に、熱帯林の保全と持続可能な経営は、特に保護地域の緩衝地帯においては、地域社会の生活改善と熱帯林の保全地域への外部からの侵略を避けるために必要です。主な木材製品の消費量(丸太、製材、パルプ、紙)は、今後30年間で増加すると予想されており、また電力生産のための固形バイオ燃料の使用は、現在のレベルよりも2030年までに3倍になる可能性があります。世界的に見ると、2050年までには工業用丸太の需要は50%から75パーセント増加すると予想されています。
 ITTO/IUCN「熱帯生産林における生物多様性の保全と持続可能な利用のためのガイドライン(英語)」 (2009) では、地域社会の持続可能な生活のための森林資源の長期的な持続可能な利用を通じて、保護地域外で生物多様性の保全を推進することの重要性を明確に述べています。また、 劣化した熱帯林と二次林の再生と管理、修復についてのITTOガイドライン(英語)」 (2002) は、熱帯地方で劣化した森林が持つ生物多様性保全能力を回復させるために不可欠な要素について解説しています。これらのITTOガイドラインは補足的なものであり、このイニシアティブのフィールド事業実施のためのガイダンスを提供することで、CBDの森林プログラムを全面的にサポートしています。

 

実施手順

ITTOは、CBD事務局、ドナー、他のパートナー、特に受益国との緊密な協議のもとでこのイニシアティブの実施で主導的な役割を果たしています。このイニシアティブに関心のある国は、本プロジェクトまたは特定の活動を行う意思がある旨を記載して、ITTO事務局(rfm@itto.int)にコンセプトノートを提出することができます。 CBD事務局とITTO事務局は、提案国のステークホルダーと一緒にそのコンセプトノートの妥当性を評価し、プロジェクト提案書(必要な場合)と資金調達の策定をサポートします。そして、このイニシアティブのプロジェクトとして決定した場合には、ドナー各国が特定プロジェクト資金、または一般プロジェクト資金として、その活動資金を配分します。

 

予算

この共同イニシアティブは、国際熱帯木材機関(ITTO)の3つの熱帯地域をカバーし、最初の4年間で15万米ドルの予算で行います。これまでITTOが熱帯地方で行ってきたプロジェクトとプログラム(過去30年間の1,000を超えるプロジェクト、事前プロジェクトと事業はおよそ4億米ドルに相当)や、2007年以来実施しているITTO/CITESのプログラムやITTOのテーマ別プログラムを含め、ITTOのプログラム開発で培った経験と、CBDの保護地域における事業実施で積み重ねた経験もこのイニシアティブに活かしていきます。

 

資金提供を受けたプロジェクト

共同イニシアティブの初期期間は4年間で、1500万米ドル相当のプログラムが計画されました。現在までに、このイニシアティブの16のプロジェクトが1400万米ドルの総予算で資金提供を受けており、主なドナー国はベルギー、日本、韓国、スイス、アメリカです。資金提供を受けたプロジェクトは次のとおりです。

・ コンゴ盆地のITTO加盟諸国における熱帯林の持続可能な経営と生物多様性保全のための能力開発[PD 456/07 Rev.4 (F)]
・ タイ、カンボジア、ラオス三国にまたがる越境地域の生物多様性保全の共同推進のためのエメラルド·トライアングル複合保護林の管理[PD 577/10 Rev.1 (F)]
・ アマゾンで管理されている森林地域における環境保護責任のある森林経営と生物多様性保全に関するACTO加盟国の能力開発[PP-A/47-266]
・ ベナンのラムサール地域1017及び1018における神聖な森の再生及び持続可能な経営に関する研究[PPD 165/12 Rev.1 (F)]
・ インドネシアとマレーシアのサラワク州にまたがる越境地域の生態系としてのベツングケリフン国立公園の生物多様性保全の推進[PD 617/11 Rev.4 (F)]
・ マレーシアのサラワクの地域コミュニティが関与するプロングタウ国立公園のための緩衝地帯の経営[PD 635/12 Rev.2 (F)]
・ メキシコ、グアテマラのタカナ火山とその影響範囲における自然資源及び生物多様性の統合管理
 [PD 668/12 Rev.1 (F)]
・ ペルー北西部の生物圏保護区におけるマングローブ生態系保護の強化[PD 601/11 Rev.3 (F)]
・ フィジーのビティレビュにおけるレワデルタの森林のコミュニティが関わる再生及び持続可能な経営[PD 696/13 Rev.2 (F)]
・ インドネシアのスマトラの厳選された高価値の在来種の保全の推進 [PD 710/13 Rev.1 (F)]
・ コンゴ盆地の9カ国における持続可能な森林経営の実施及びサテライトとレーダー画像の使用による越境保全地域の生物多様性保全のための能力開発[PP-A/50-296 Rev.1]
・ ペルー北部沿岸地域熱帯林の持続可能な経営のための能力育成[PD 741/14 Rev.3 (F)]
・ ベナンのラムサール地域1017及び1018における神聖な森の再生及び持続可能な経営[PD 754/14 Rev.3 (F)]
・ 地元のステークホルダーが関わる景観の適切な管理によるCibodas生物圏保護区の機能の復旧促進[PD 777/15 Rev.3 (F)]
・ ITTOガイドラインに基づいたグアテマラ森林景観修復プログラムの開発[PD 765/14 Rev.3 (F)]
・ ミャンマーTaninthayi地区の越境生物多様性保全の強化のための能力開発 [PD 723/13 Rev.2 (F) Phase I, Stage 1] 


上記のプロジェクトは、26カ国の生物多様性の豊富な地域で実施されており、CBD生物多様性戦略的計画2011-2020、とりわけ、林業関連の愛知生物多様性目標5,7,11,14, 15の達成に直接貢献しています。


進捗状況

全体的に、国際熱帯木材機関(ITTO)と生物多様性条約事務局(CBD)の協力のもと、熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブの枠組みの中で行われてきた世界の3大熱帯地域の26カ国をカバーする11のプロジェクトの実施という大きな進展は、生物多様性戦略計画2011-2020の達成、特に次に述べる林業関連の愛知生物多様性目標に目に見えた貢献をしています。



目標5:2020年までに森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合にはゼロに近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する。

目標7:2020年までに、農業、養殖業、林業が行われる地域が、生物多様性の保全を確保するよう持続的に管理される。

目標11:2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される。

目標14:2020年までに、生態系が水に関連するものを含む基本的なサービスを提供し、人の健康、生活、福利に貢献し、回復及び保全され、その際には女性、先住民、地域社会、貧困層及び弱者のニーズが考慮される。

目標15:2020年までに、劣化した生態系の少なくとも15%以上の回復を含む生態系の保全と回復を通じ、生態系の回復力及び二酸化炭素のの貯蔵に対する生物多様性の貢献が強化され、それが気候変動の緩和と適応及び砂漠化の対処に貢献する。