2022年初頭に欧州の熱帯木材の輸入が拡大 - IMMの最新レポート

2022年10月21日

ナントで開催されたCarrefour International du Bois 2022。IMMがコンサルテーションを行った。写真:IMM

2022年10月21日、横浜:今週発表されたFLEGT独立市場監査の最新モジュラー・レポートは、2022年1月から3月のEUの熱帯木材に対する需要(インドネシアやその他の自主的パートナーシップ協定国からのFLEGTライセンス品を含む)が堅調であることを示しています。しかし、EU関連取引の先行きは不明であることも示唆されました。

独立市場監視(Independent Market Monitor:IMM)の国別通信員が、最新の報告書のために、欧州連合(European Union: EU)の主要な熱帯木材消費国で実施した貿易調査では、2022年の取引は好調なスタートを切ったことが明らかになりました。運送の問題や価格の上昇が続いているものの、2022年の第1四半期には、IMMがモニタリングしているEUの主要市場全体で強い需要が報告されました。2022年第1四半期の自主的パートナーシップ協定(Voluntary Partnership Agreement: VPA)のパートナー国のEUへの輸出は、2021年の同時期と比較して取引額で36%増の8億5,400万米ドル、取引量で20%増の3億6,800トンでした。

EUによる、森林法施行・ガバナンス・貿易(Forest Law Enforcement Governance and Trade: FLEGT)ライセンスに基づく木材・木材製品のインドネシアからの輸入は、第1四半期に2億8,800万米ドルに増加しました。各国の輸入額は、オランダで15%増の7,900万米ドル、ドイツで8%増の5,000万米ドル超、ベルギーで15%増の3,700万米ドルです。IMMの調査回答者は、ロシアのウクライナに対する戦争とさらなる経済的不安定さから、熱帯貿易は年内に減速すると予測しており、また、先行き不透明感も増していると述べています。

本報告書は今年発行されたIMMモジュラー・レポート(モジュール式のレポート)第2号です。2021年の貿易統計の概要などについて記載された第1号は、2022年5月に発行されました。第1号はこちらから入手できます(英語)。

本報告書は、ジャカルタ(インドネシア)とナント(フランス)で最近行われた関係者との協議をまとめたもので、同協議で木材セクターの関係者は、熱帯とVPAパートナー国との貿易、および、FLEGTとFLEGTライセンスに関するEUの市場認識を監視するというIMMの役割を継続する必要性を表明しました。EUが資金提供し、ITTOが運営するIMMは、2022年12月に運営を終了することが決まっています。ジャカルタとナントでの協議は、プロジェクトの業務の質と範囲に関する関係者の意見を聞き、2014年からITTO IMMプロジェクトが実施している、このような独立市場監査の継続に関する今後の必要性を確認するために開催されたものです。関係者らは、このようなモニタリングをさらに発展させる方法を提案するとともに、木材の合法性や持続可能性に世界的に注目が集まり、低炭素材料資源としての木材の価値への評価が高まる中、モニタリングは公共政策やビジネス戦略に情報を提供し続けるべきであると意見を述べました。

報告書はこちらからダウンロードすることができます。