ITTOとCITES、沈香の報告書について議論するワークショップを開催

2022年6月28日

沈香を生成する真菌を植え付けられたマラッカジンコウの木。写真:FRIM FRIM

2022年6月28日、横浜:ITTOとワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)事務局は今月初め、香木の貿易が沈香種の保全に害を及ぼさないようにするための継続的な努力の一環として、非常に価値の高い香木である沈香に関する報告書のドラフトを検討するワークショップを開催しました。

沈香(別名:イーグルウッド、ガハル)は、アジア諸国で産出され、お香や香水、小さな彫刻に使用されています。沈香は主にジンチョウゲ科のアクイラリア属とギリノプス属の木の心材が一種の真菌に感染することで作られます。最高品質のものは1kgあたり10万米ドルで取り引きされた沈香は、持続不可能なレベルで採取が行われることとなり、2004年以降、アクイラリア属とギリノプス属の全種がワシントン条約付属書II(現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの)に掲載されています。

2019年8月、ワシントン条約第18回締約国会議では、沈香種の取引を管理する国家当局の能力を強化することを目的とした決定(CITESウェブサイトから入手可能)が採択されました。CITES事務局は、沈香を生産する樹種に関する研究の呼びかけなどを含む同会議の決定事項を実施したり、実施を促進したりしています。

沈香を生産できる樹種に関する報告書ドラフトは、ITTOがCITESとの合意のもとに作成し、同樹種の栽培、真菌の植え付け技術、最良の経営方法を調査し、野生および植林した沈香資源を再確認し、さらに加工技術、製品、規制方法を検討したものです。この報告書は、2018年のCITES樹種プログラムに関するアジア地域会議の成果と勧告、および2015年にITTOが開催した沈香に関する国際会議に基づいています。

2022年6月20日から22日にかけてマレーシアのクアラルンプールで開催されたワークショップには、野生および植林地での沈香の経営の経験を持つ沈香輸出入国の専門家50人(オンライン参加10人を含む)が参加し、報告書を批判的に検討し、改訂のための意見を提供しました。改訂された報告書は出版され、2022年11月にパナマで開催されるワシントン条約第19回締約国会議にて発表される予定です。

「ITTOは、沈香の取り引きが種の存続に害を及ぼさないようにするため、ワシントン条約事務局とともにこの重要な作業を継続することを強く支持します」と、シャーム・サックルITTO事務局長はワークショップの開会の辞で述べました。

沈香に関する報告書の最終版や沈香生育地の国々によるワークショップでのプレゼンテーション、およびワークショップの報告書は、CITES樹木プログラムのウェブサイトで順次公開される予定です。

関連するSDGs

資源(天然と栽培)、加工技術、沈香製品、現行の規制制度の見直しなどをはじめとする沈香に関する研究は、ワシントン条約の下で国際的に合意されたプロトコルに従って、沈香種の持続可能で合法的な取引を促進することを目的としています。

沈香種の栽培と真菌の植え付けによって、自然林で自生している個体群への圧力が緩和されます。

ITTOとCITESは、ワシントン条約付属書への木材種要件実施が増えていることを受けて、各国を支援するため、長年にわたるパートナーシップを結んでいます。