今こそ林業への投資を

2022年5月3日, 韓国、ソウル

今こそ森林に投資し、小規模で拡大可能なプロジェクトの価値を実証すべきです。写真:W. Palomino

2022年5月3日、韓国、ソウル: ITTOは10年以上にわたり熱帯林への持続可能な投資を推進してきました。しかし第15回世界林業会議2日目にITTOとパートナーが共催した特別イベントに参加した専門家は、グローバルな課題を克服するために森林の重要性が高まっている今こそ、まさに、森林に投資すべきであると述べています。

特別イベント「人々、利益、自然のための森林への持続可能な投資(Sustainable investments in forests for people, profit and nature)」(英語)では、低炭素経済成長、環境にやさしい雇用であるグリーンジョブ(緑の雇用)、生態系の回復および魅力的な利益の元となり、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する可能性がある森林プロジェクトやプログラムを推進する必要性が強調されました。

パリ協定と「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」は、森林が気候変動、生物多様性の損失、貧困に対応する可能性があることから、地球環境アジェンダのトップに森林を据えています。しかし、特別イベントに出席した専門家は、持続可能な林業を拡大する準備ができている小規模森林所有者に提供される気候資金の割合は非常に低いと指摘しました。このことから、持続可能な投資、林産物の持続可能な生産、消費のための市場における可能性をもたらす要因をそれぞれ吟味することが重要です。

シャーム・サックルITTO事務局長は、「森林に対する投資の未来」というセッションでプレゼンテーションを行い、林産物の持続可能な生産と消費の双方に等しく明確な指標と目標を設定することで、どちらも大幅に拡大できると述べました。サックル事務局長は具体的な施策として、建設における木材の使用を優先するといった官民の調達政策、隔離炭素に関する炭素会計(カーボン・アカウンティング)システム、消費目標、合法で持続可能なサプライチェーンの促進などを挙げました。「このような施策は、明確な市場シグナルとなり、投資家に自信を与えるでしょう。今こそまさに林業に投資するときです。」

サックル事務局長はまた、合法的かつ持続可能な方法で経営された森林から木材を伐採することは森林破壊ではないと主張し、森林投資が生計と環境に及ぼす変革的な影響を実証する上で、小規模で拡大可能かつ再現可能なITTOプロジェクトの価値への関心を促しました。また、主要ドナーのために一連の魅力的なプログラムを調整することができれば、地域社会や小規模所有者に利益をもたらす林業プロジェクトへの資金の主流になり得ると他の国際機関に協力を求めました。

林業への投資は、第15回世界林業会議の2日目に実施された他の多くのセッションでも議題とされていました。ITTOはまた、森林資金に関する閣僚フォーラム、「持続可能な木材—カーボンニュートラルで強靭な経済に向けて」と題する閣僚フォーラム、生物多様性のための持続可能な経営下にある森林に関するサブテーマ2のセッション、および、国際森林研究機関連合、アジア森林協力機構の共催によるサイドイベント「森林景観回復による健全で強靭な景観の構築」にも参加しました。