国際森林教育会議が始まる

2021年6月22日

2021年622日、ローマ:3日間の日程で開催される国際森林教育会議(International Conference on Forest Education)(英語)が本日開会しました。森林や樹木が持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に十分に寄与し、人 – 自然 – 森林の間に広がる隔たりを縮めるために森林教育が果たす重要な役割が話し合われます。

国際森林教育会議には1,000名を超える専門家が参加します。会議はドイツの資金協力により、ITTO、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations:FAO)、国際森林研究機関連合(International Union of Forest Research Organizations :IUFRO)および 国際林業研究センター(CIFOR)- 国際アグロフォレストリー研究センター(ICRAF)、国連森林フォーラム(UN Forum on Forests:UNFF)事務局および国連気候変動枠組条約(UN Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)事務局が共同開催しています。

本会議では、小学校から大学までの全教育レベルで行われている森林教育についての地球規模調査の結果報告がなされます。実施に1年を要したこの調査では、FAO、ITTO、IUFRO及び世界森林教育プロジェクト(英語)が森林教育の現状に関するデータの収集、取りまとめ、検証を行いました。

「森林は、気候変動対策、森林に依存する人々の暮らし、将来世代にとっての安定した未来のために無くてはならないものです。」とマリア・エレナ・セメドFAO事務局次長は述べました。「しかし、世界に目を向けると、森林が環境面、社会面、経済面で有す重要性が見過ごされています。今まで以上に多くの人々が大切な自然資源をもたらしてくれる森林に価値を見出すよう森林教育を早急に活性化させなければなりません。」

本会議は国際社会で今後の森林教育の方針を示す一助となります。政策決定者、森林分野の教員、林業を学ぶ学生といった参加者は、次の3本の森林教育・知識の柱を見直します:1) 正規教育課程での森林教育、2) 非正規(ノンフォーマル)教育と生涯(インフォーマル)教育、3) 伝統的知識・先住民の知識体系

森林教育におけるジェンダーと民族性(エスニシティ)の取り上げ方、就職で求められる条件に合わせた森林教育の改正、小・中学生の日常生活への森林の導入、大学レベルでの森林教育の質の向上、戦略的な広報活動による森林分野の職業についての古い認識の是正、森林教育強化のためのデジタル手段の活用といったテーマが議論されます。

森林教育改善に向けた新たなデジタルツール
本会議では、森林教育の改善に資する2種類の最新デジタルツールの発表を予定しています。

フォレストラ(forestra) (英語)は、世界森林教育プロジェクトの一環としてIUFROの主導により開発された国際森林教育のオンラインプラットフォームです。フォレストラは、大学教育、技術教育・訓練(短期・長期)、職業教育・訓練(短期・長期)及び森林関連の公共環境教育に関する情報を蓄積し、その共有を促すものです。

「デジタル化によって世界が一層つながる中、オンラインでの情報入手の機会も拡大しています。」とジョン・パロッタIUFRO会長は話しました。「フォレストラは、革新的で使いやすい検索機能を備え、森林教育に関連した知識や情報へのアクセスを容易にするために開発されました。世界の様々なレベルで行われている教育、訓練、森林関連の環境啓発イニシアティブにつながりを持たせることが期待されます。」

もう一種類のツールは、ITTOの主導で開発した木材産業分野の合法かつ持続可能な木材サプライチェーン(Legal and Sustainable Supply Chains:LSSC)(英語)に関する無料オンライン学習講座です。この学習講座は、事業者等の視聴者が市場要件を満たすための支援となります。

「世界中の何100万もの人々の暮らしは木材にかかっていますが、違法で持続不可能な活動によってこれが次第に脅威にさらされています。」とスティーブン・ジョンソンITTO事務局長代理は述べました。「本学習講座は、起業家、林業従事者、政府機関職員及び学生が木材産業におけるベストプラクティスを理解する助けなると共にSDGsにも寄与するでしょう。」

本会議への出席者は会議の最後に森林教育、訓練及び知識交換を強化するための主な行動をまとめた「森林教育に関する行動要請(Call to Action on Forest Education)」の支持を勧められます。会議出席者以外による本行動要請への支持も会議終了後に可能となります。
 

会議のオンライン配信(英語)


関連リンク

国際森林教育会議(International Conference on Forest Education)(英語)
世界森林教育プロジェクト(Global Forest Education Project)(英語)
フォレストラ(forestra)(英語)
合法かつ持続可能な木材サプライチェーン(Legal and Sustainable Supply Chains :LSSC)に関するオンライン学習講座(英語)

関連するSDGs

国際森林教育会議では森林教育を強化するための課題、ニーズ、機会が議論され、森林教育に関する国際的な行動要請がなされます。

森林教育は、森林減少・森林劣化の減速、生態系の保護と回復、生計向上、人の健康・栄養・福利の保護、生物多様性の保全、気候変動の緩和と適応といった環境面や社会面での喫緊のニーズの多くを解決する糸口となり得ます。またその役割を果たさなければなりません。

森林教育が活性化されなければ、森林や樹木による持続可能な開発への寄与は十分でなくなり、人–自然–森林との間の隔たりを埋めることが困難となるでしょう。