ITTOとホンジュラス政府が未利用木材種に関するプロジェクト合意書に調印

2018年4月16日

ヘクトール・アレハンドロ・パルマ ホンジュラス大使(写真左)、ゲアハート・ディタレITTO事務局長は、ホンジュラスのカリブ海沿岸地域における未利用木材樹種の使用拡大に関するプロジェクトの実施に合意。 写真提供: Ken Sato/ITTO

2018年4月16日、ITTOとホンジュラス政府はカリブ海に面する同国地域に豊富に見られる12種類の未利用木材種の造林、マーケティング、そして利用を改善することを目的としたプロジェクトの実施に関する合意書に調印しました。プロジェクトではホンジュラスの森林セクターを従来の選択的伐採からシフトさせて、広範囲の樹種を対象とする持続可能な森林経営を促進することを目的としています。

ホンジュラスの森林収穫は、主に数少ない高付加価値木材のマホガニー(Swietenia macrophylla)や スギ (Cedrela odorata) 、そしてグラナディロ(Dalbergia retusa)に重点を置き、これらの樹種に対するプレッシャーや、生態系と林業の潜在的経済利益にもネガティブな影響を与えてきました。
 
ホンジュラス国立森林局(Instituto Nacional de Conservación, Desarrollo Forestal, Areas Protegidas y Vida Silvestre)では、ITTOプロジェクトPD 770/15 Rev.1 (I)「ホンジュラスのアトランティダ、コロン、北オルランチョの湿潤林における未利用木材樹種の持続可能な経営促進」を実施する予定です。このプロジェクトでは、同国カリブ海地域の森林管理を改善し、収穫する樹種を多様化していくことを目指します。
 
このたびのプロジェクト合意書は横浜のITTO本部において、ホンジュラスのヘクトール・アレハンドロ・パルマ駐日大使とゲアハート・ディタレITTO事務局長との間で締結されました。
 
ピオジョ・ロホ(Tapirira guianensis)、ロシタ(Hyeronima alchorneoides)、マラポラン(Guarea grandiflora)、サンタ・マリア(Symphonia globulifera)、サン・フアン・アレノ(Ilex tectonica)、フエシト(Macrohasseltia macroterantha)、パレト(Dialium guianensis)、サン・ フアン・コロラド(Vochysia ferruginea)は、ホンジュラスのカリブ海沿岸地域では比較的豊富に見られる樹種ですが、これまでは過小評価され、十分に活用されてきませんでした。しかしながら、こうした樹種の多くは他の高付加価値樹種と同様の特性を持っているだけでなく、生態学的かつ経済的にも持続可能な森林産業の基盤になる可能性を持っています。

本プロジェクトでは、未利用木材樹種に関する国家戦略を作成し、管理・販売を持続的に実施できるよう、地域及び制度的能力の強化に取り組む予定です。その結果として、これまで偏って採取されてきた従来の木材種を再生できるのではないかと考えられています。

こうしたことから、木材セクターで扱われている樹種を多様化することで、カリブ海地域の森林コミュニティーの収入増にもつながり、森林生産者、アグロフォレストリーグループ、先住民コミュニティーグループ(GarifunasとPech)、及び同地域の市町村にも利益をもたらすことが期待されています。