ITTO、APEC大連会合で地域のレジリエンスに向けた熱帯林の重要性を訴える

2026年8月31日, 大連

第3回アジア太平洋経済協力(APEC)高級実務者会合(SOM3)において、ITTOは、熱帯林が国および地域にとって重要な資産であり、その持続可能な経営が経済発展、気候変動対策、地域社会のレジリエンスに貢献することを強調しました。© Tetra Yanuariadi/ITTO

アジア太平洋地域のさまざまな関係者が集まったある会合で、ITTOは、熱帯林が国および地域にとって重要な資産であり、その持続可能な経営が経済発展、気候変動対策、地域社会のレジリエンスに貢献することを強調しました。ITTOのテトラ・ヤヌアリアディ氏は、中国・大連で開催された第3回アジア太平洋経済協力(APEC)高級実務者会合(Senior Officials’ Meeting: SOM3)のセッションで、この点について発言しました。

SOM3で開催された第28回APEC科学技術イノベーション政策パートナーシップ(APEC-Policy Partnership on Science, Technology and Innovation: PPSTI)会合において、ITTOプロジェクト・マネージャーのテトラ・ヤヌアリアディ氏は、ITTOイノベーションと技術を活用し、持続可能な森林経営を支援するとともに、合法かつ持続可能なサプライチェーンを強化し、循環型バイオエコノミーの構築を推進していることを紹介しました。

SOM3において、ITTOプロジェクト・マネージャーのテトラ・ヤヌアリアディ博士は、熱帯林がもたらす多様な恩恵について説明し、特に持続可能な木材利用が地域の商業施設や住宅の建設を変革する可能性を指摘しました。© Indonesian Delegation

森林を解決策の中心に

森林は、人口が増加するアジア太平洋地域のニーズに応える上で中心的な役割を果たすものです。インド亜大陸から太平洋の島々に広がる同地域の熱帯林は、何億人もの人々に食料、木材製品、燃料、収入を提供しています。

森林が提供する生態系サービス、経済的サービス、社会文化的サービスを脅かすさまざまな課題が存在する中、熱帯林独自の価値を改めて捉え直し、地域の政策議論におけるその位置付けを高めることが重要です。

持続可能な木材利用は、こうした取組に不可欠です。森林を生産的かつ再生可能な資源として維持しつつ、そこから経済的価値を創出することで、地域の関係者が持続可能な森林管理を実践する意欲はさらに高まるでしょう。

SOM3でヤヌアリアディ博士は、熱帯林がもたらす多様な恩恵について説明し、特に持続可能な木材利用が地域の商業施設や住宅の建設を刷新する可能性を指摘しました。コンクリートや鉄鋼など、より炭素集約的な資材の代わりに木材を使用することで、建築物のカーボンフットプリントを削減し、各国の「国が決定する貢献(NDCs)」達成に向けた取組を支援することができます。

イノベーションによって、持続可能な森林経営や合法かつ持続可能なサプライチェーンをより効率的なものにすることで、こうした恩恵をさらに拡大することができます。ITTOは、森林モニタリング木材追跡木材識別などの分野で革新的な技術の経験を有します。それらの経験は、技術が地域住民の参加や能力開発と組み合わされたときに、最大の効果を発揮することを示しています。

インドネシアのスマトラ島とカリマンタン島で実施されたITTOプロジェクトでは、衛星を利用した火災モニタリングシステムを導入し、火災の早期発見と対応の改善につなげました。ヤヌアリアディ博士は、革新的なツールやアプローチをコミュニティへの教育と組み合わせる必要があることを強調し、地域の消防隊がこうした技術ツールを効果的に運用するために必要なスキルを身につけるための研修や能力開発のモジュールを例として挙げました。

高価値木材の持続可能な生産を推進するITTOの主要プロジェクトは、写真のインドでの実施例に見られるように、産業界が消費者のニーズを満たし、国際貿易の要件に適合する木材を安定的に生産するために必要なツールと能力を提供しています。© Dr R. Yasodha, ICFRE-Institute of Forest Genetics and Tree Breeding

技術を活用して変革の条件を整える

木材セクターの繁栄は、大小さまざまな生産者から成る産業基盤が活況を呈していてこそ実現するものです。気候に配慮した木造建築が広く普及する未来を実現するためには、アジア太平洋地域の各国がまず、持続可能な木材生産と市場の成長を可能にする条件を整える必要があります。

地域の生産者は、さまざまな製品や用途に利用できる高品質な有用樹種を、安定的かつ予測可能な収量で生産できる必要があります。ヤヌアリアディ博士は、アジア太平洋地域の5つのエコノミーで実施されている、高価値木材の持続可能な生産を推進するITTOの主要プロジェクトについて説明しました。プロジェクトでは、産業界が消費者のニーズを満たし、国際貿易の要件に適合する木材を安定的に生産するために必要なツールと能力を提供しています。

木材・木材製品の需要を拡大することも、ITTOが同地域で取り組む重要な目標の一つです。インドインドネシアマレーシアタイベトナムで実施されているプロジェクトを通じて、ITTOは政策の整合、生産能力、技能、消費者の意識に重点を置きながら、国内市場における持続可能な木材利用を推進しています。

ITTOが現場でプロジェクトを実施してきた経験は、SOM3およびPPSTIの枠組みの下で行われる議論を補完するものおして特に重要であり、専門知識の共有、コンセンサスの形成、地域的な課題に対する実践的なアプローチの適用を支えています。© Indonesian Delegation

ITTOの貢献がAPECにとって重要なのはなぜか

こうした実践的な経験をAPECのワーキンググループに持ち込むことで、地域の熱帯林を持続可能なかたちで経営することによってもたらされるさまざまな波及効果が、さらに明確になります。SOM3およびPPSTIの枠組は、地域の各国が専門知識を共有し、コンセンサスを形成するとともに、地域的な課題に対する実践的なアプローチを検討するための重要な場となっています。

ITTOが現場でプロジェクトを実施してきた経験は、こうした議論を補完するものとして特に重要です。これらの取組は、技術によって何が可能になるかを示すだけでなく、技術によって成果を生み出すために必要となる政策面、技術面、資金面、地域社会の条件も明らかにしています。

地域の経済変革において技術革新が重要な特徴となっている中、こうした実践的な経験は、熱帯林がもたらす可能性に対する理解を深めることにつながります。イノベーションはそれ自体が目的ではなく、持続可能な森林経営と木材利用をより効率的、競争力のある、そして規模を拡大できるものにするための手段なのです。

中国がAPEC議長国である2026年、加盟国がそれぞれの活動を続ける中で、大連におけるITTOの取組は、一つのメッセージを発信するものです。それは、イノベーションと技術が、アジア太平洋地域の熱帯林の持続可能な経営を支援すると同時に、その経済的価値を高めることができるということです。適切な技術、制度、投資、パートナーシップがあれば、イノベーションによって地域の森林をより生産性が高く、レジリエントで、価値のあるものにし、地域の持続可能な未来への貢献を高めることができます。