TOウェビナー、合法性・コンプライアンス・証明が生み出す競争優位を探る

2026年3月11日, 横浜

最近開催されたITTOウェビナーの登壇者は、木材の合法性はもはや単なるコンプライアンスの問題ではなく、持続可能な森林開発、責任ある貿易、そして世界的なサプライチェーンの信頼性を支える戦略的な基盤となっていると述べました。© Tetra Yanuariadi/ITTO

国際熱帯木材機関(ITTO)が主催した最近のオンラインセミナーにおいて、国内ガバナンスに合法性を組み込むことは、熱帯木材生産国にとってますます競争優位となりつつあると専門家は指摘しました。

このウェビナーでは、木材サプライチェーンの合法性を経験とベストプラクティスを通じて探り、学者、林業従事者、民間部門の代表者を集めて、インドネシアとベトナムからの教訓がどのように他の熱帯諸国への知識移転と共有につながるかを検討しました。

インドネシア共和国林業省のリナ・クリスティアンティ博士およびベトナム木材・林産品協会(VIFOREST)のゴー・シー・ホアイ氏は、それぞれの国の経験から得られた知見を共有し、木材合法性の枠組の実施が持続可能な森林経営および市場の信頼性を向上させると同時に、国内木材産業の強化にも寄与することを示しました。

登壇者らは、木材の合法性はもはや単なるコンプライアンスの問題ではなく、持続可能な森林開発、責任ある貿易、そして世界的なサプライチェーンの信頼性を支える戦略的な基盤となっていると述べました。。

このイベントは、チークおよびその他のプランテーション樹種から高品質木材の生産を強化することを目的としたITTO–BMLEHプロジェクト第2フェーズのもとで始まった、ITTOウェビナーシリーズの一環として開催されました。このシリーズは、合法かつ持続可能な熱帯木材サプライチェーンの構築に関する政策動向、産業トレンド、新たな課題について、世界各国の専門家が経験を共有するためのプラットフォームを提供しています。 

リナ・クリスティアンティ博士は、インドネシアにおける国内木材合法性および証明システムの実施経験について概説しました。© ITTO

インドネシア:制度を通じた信頼性の構築

クリスティアンティ博士は、ITTOの支援を受けて実施されているインドネシアの国内木材合法性および証明システム(Sistim Verifikasi Legalitas Kayu - SVLK)の経験について説明しました。インドネシアでは、保有する森林1億2,570万ヘクタールのうち半分が、生産林に指定されています。このため、同国は生産性を維持しつつ効果的なガバナンスを確保するという二重の課題に直面しています。

これに対するインドネシアの対応は制度的なものでした。2001年に設立されたSVLKは、国内の木材産業全体において、持続可能な森林経営、木材の合法性、そして林産物の申告の遵守を証明します。政府認定の監督の下で独立監査人が制度基準への適合を評価し、透明性と信頼性の確保に寄与しています。

トレーサビリティは、この制度の有効性の中心と言えます。クリスティアンティ博士は、SVLKがインドネシアの国家林業モニタリングシステムであるSIMONTANAと連携して運用されていることを説明しました。SIMONTANAはデータを収集し、原材料の供給源の正確な地理的位置を確保します。これらのシステムの統合により、森林から市場まで木材を追跡することが可能となり、サプライチェーン全体の説明責任が強化されています。

これらの取組は、測定可能な成果を生み出しています。インドネシアの木材セクターでは、生産性の向上とともに輸出の拡大が見られ、とりわけ中国、米国、日本といった主要市場への輸出が増加しました。EU、英国、オーストラリアなど主要貿易相手国によるSVLKの承認は、市場の信頼を高め、パンデミック後の輸出の回復を後押ししました。

ITTOは、インドネシアにおける森林ガバナンスの強化において引き続き重要な役割を果たしています。インドネシアの林業省と連携しながら、ITTOは中小企業(SMEs)、産業団体、州政府と協力し、持続可能な森林経営および合法性に関するベストプラクティスの遵守を推進しています。一連の能力強化ワークショップを通じて、SVLKおよびその拡張された枠組に関する理解を深めるとともに、サプライチェーン全体におけるガバナンスの改善を目指しています。

この支援は、とりわけ中小企業にとって重要です。多くの中小企業は、国際市場および国内市場の双方へのアクセスに課題を抱えています。これらの制約に対応するため、プロジェクトでは木材生産者と加工産業を結びつけるシステムの開発を支援し、合法性に基づくより効率的で透明性の高いサプライチェーンの構築を可能にしています。コンプライアンス枠組が小規模所有者やコミュニティ林業の機会を強化するとともに、持続可能な林業と産業成長を支えることを確保することを目的としています。

「木材の合法性とは、単に国際貿易の要件を満たすことではありません。それはグローバルマーケットにおける信頼を築き、将来世代のために森林資源を守り、ベトナムを責任ある木材加工拠点としての地位へと高めることです。」とホアイ氏は述べました。© ITTO

ベトナム:経済変革としての合法性

ホアイ氏が紹介したベトナムの経験は、合法性の枠組がより広範な産業変革の基盤となり得ることを示しています。

2003年に天然林での伐採を禁止した後、ベトナムはプランテーションを基盤とする林業モデルへと大きく舵を切りました。現在、同国の森林面積は1,480万ヘクタール、森林被覆率は42%に達しており、世界有数の木材および木製品の生産・輸出国となっています。

この成長は、法制度改革、証明制度、そして政府の政策やインセンティブに支えられた産業界の強い参加によって推進されてきました。合法性の確保は、市場要件であると同時に、持続可能な森林経営および林業発展に対するベトナムの国家的コミットメントの中核要素となっています。

ベトナム木材合法性保証システム(Viet Nam Timber Legality Assurance System: VNTLAS)は、国内で伐採された木材および輸入木材が合法であり、仕向け市場の要件を満たしていることを確保する制度です。同システムは、リスク評価、検証、そしてサプライチェーン全体にわたる説明責任を通じて透明性を重視しています。

VNTLASは、2017年の画期的な林業法によって支えられています。この法律は国内規制を国際要件と整合させ、木材原産地の追跡および税関管理のための義務的手続きを確立しています。さらにベトナムは、EUの森林法施行・ガバナンス・貿易(FLEGT)イニシアティブのもとでの自主的パートナーシップ協定、CITES規則への遵守、そしてEU森林減少防止規則の要件への対応に向けた取組を通じて、その枠組みをさらに強化しています。

主要な木材輸出国としてのベトナムの地位は、多くの教訓も生み出しました。ホアイ氏は、森林経営改革を産業全体の発展と並行して進める重要性を強調しました。農業従事者に森林土地を配分する土地保有制度改革は生産者の信頼を高め、政府が支援する産業団地や貿易協定は新たな投資と輸出成長を促しました。

これらの政策により、民間部門の強い関与が促進されました。民間企業は、合法性を制約ではなく、競争力および市場アクセスの向上にとって重要な要素として捉えるようになっています。

同時にホアイ氏は、木材の合法性は継続的な改善を必要とする動的なプロセスであることも強調しました。デジタルトレーサビリティ制度の強化、コンプライアンス要件への対応における中小企業の支援、そしてプランテーション材の品質向上が重要な優先課題です。ベトナムが合法性の枠組みをさらに発展させていくうえで、国際協力およびパートナーシップの拡大も重要な役割を果たします。

ホアイ氏は締めくくりに次のように述べました。

「木材の合法性とは、単に国際貿易の要件を満たすことではありません。それはグローバルマーケットにおける信頼を築き、将来世代のために森林資源を守り、ベトナムを責任ある木材加工拠点としての地位へと高めることです。」

透明性と責任を備えたサプライチェーンから供給される木材製品への世界的需要が増加する中で、法制度の改革は熱帯木材セクターの将来を形づくるうえでますます重要な役割を果たすことになります。© ITTO

合法性と持続可能性の相互の繋がり

インドネシアおよびベトナムの経験は、強固な合法性の枠組が持続可能な森林経営と経済成長の双方を支えることができることを示しています。

両登壇者は、合法性が持続可能なサプライチェーンの基盤であることを強調しました。ガバナンスを強化し、透明性を高め、生産者、規制当局、購入者の間の信頼を醸成することで、合法性制度は長期的な投資と産業の安定のための条件を整えます。

まだこうした取組を実施していない熱帯木材生産国にとって、これらの事例は、強固な合法性枠組みの導入が世界および地域での取引の機会を拡大すると同時に、持続可能な開発目標を強化することを明確に示しています。透明性と責任を備えたサプライチェーンから供給される木材製品への世界的需要が増加し続ける中で、このような改革は熱帯木材セクターの将来を形づくるうえでますます重要な役割を果たすことになります。

本ウェビナーの様子はこちらからご覧いただくことができます(英語)。