国際女性デー 2026:熱帯林の持続可能性を形づくる5人の女性

2026年3月8日, 横浜

「Rights. Justice. Action.(権利、正義、行動。)」をテーマとする2026年の国際女性デーに、ITTOは、様々な分野で持続可能な熱帯林経営を推進している5人の素晴らしい女性たちを称えます。

「Rights. Justice. Action.(権利、正義、行動。)」をテーマとする2026年の国際女性デーに、国際熱帯木材機関(ITTO)は、様々な分野で持続可能な熱帯林経営を推進している5人の素晴らしい女性たちを称えます。

木材合法性の強化や貿易法の改革から、最前線で活動する森林火災ボランティアの動員、女性の土地権の確保、先住民の知識の擁護に至るまで、これらのリーダーたちはコミットメントを行動へと転換しています。それらは、森林経営が環境的に健全であるだけでなく、公正で、透明性があり、包摂的なものとなることを約束するものです。

インドネシアにおける政策と実践の橋渡し

インドネシア林業省の国際協力担当官であるリナ・クリスティアンティ氏にとって、このテーマはまさに、現場の実情と国家政策との結びつきを示すものです。

彼女は次のように説明しています。

「『権利、正義、行動』とは、現場の状況を的確に捉え、それを持続可能な森林経営、地域社会への公正な利益配分、そして公平な開発の促進を確保するための具体的な政策措置として反映させることを意味します。」

リナ博士は、インドネシアの木材合法性証明システム(SVLK)を強化し、国内木材市場における中小企業(SMEs)を支援するITTOプロジェクトを主導することにより、具体的な変化を実現してきました。産業関係者と直接関わることで、持続可能性、合法性およびトレーサビリティ要件に対する理解の向上を支援し、政策を実際の成果へと結びつけました。

また彼女は、森林関連紛争における女性の認定調停人の不足を指摘し、紛争調停および森林ガバナンスにおけるジェンダー包摂のさらなる推進の必要性を強調しています。林業分野に進もうとする若い女性たちへの助言には、現実的かつ前向きな視点の双方が込められています。

ためらわずに困難な課題に取り組み、自らの意見を表明してください。皆さんの貢献によって、持続可能な森林経営に前向きな変化をもたらすことができます。

ITTOが現在準備を進めている「熱帯統合森林火災管理ツールキット」は、2026年に一般公開される予定です。本ツールキットは、国際的に認知された5Rs火災フレームワークを基盤とする一元的で信頼性の高いプラットフォームとして構築され、熱帯諸国が森林火災管理に関するリソースへより容易にアクセスできるようにするものです。© Arie Klop

ガーナにおける森林火災への最前線での対応

西アフリカにおいて、ガーナCSIR森林研究所(CSIR-Forestry Research Institute of Ghana)の副所長兼主任研究員であるルーシー・アミサー氏は、増大する森林火災リスクの最前線で活動しています。

彼女は、地域コミュニティに基づく火災管理を、啓発キャンペーン、防火帯の設置、計画的火入れ、訓練を受けたボランティア消防団の動員を含む協調的な取組であると表現しています。

火災シーズンには、地域コミュニティに森林火災リスクについて周知するための啓発活動が実施されます…地域の火災ボランティアは通常、動員され、訓練を受け、基本的な消火用具を支給されます…これらの活動は、私の地域における森林および地域社会の保護に、ある程度貢献してきました。

しかしながら、女性は火災管理の役割において、依然として壁に直面しています。

例えば、消火活動は身体的に過酷な作業です…また一部の地域社会では、文化的規範が女性の火災管理活動への十分な参加を妨げています。

ルーシー氏によれば、長期的な火災リスクの低減は健全な森林経営にかかっています。

燃料負荷を軽減し、激しい火災の発生可能性を低下させる森林経営の活動は、長期的に火災リスクを減少させることができます。

彼女は、女性が火災管理および森林経営の双方において中心的な存在であると考え、以下を提唱しています。

能力強化プログラムを通じて、森林経営の実践や利益配分の取り決めに関する意思決定に女性が参加できるよう(女性の)エンパワーメントを図ること。

ジェンダー平等および女性のエンパワーメントはITTOのミッションの中核であり、同機関は2018年にこの取組を制度化するためのガイドラインを採択しました。これらのガイドラインは、ITTOの政策およびプロジェクト活動全体におけるジェンダー統合およびジェンダー主流化の枠組みとなっています。

アフリカにおける女性の土地権の確保

コミュニティ森林経営のためのアフリカ女性ネットワーク(REFACOF)の計画・協力地域コーディネーターであるローズ・ペラーギ・マッソ氏にとって、「権利、正義、行動。」というテーマは森林ガバナンスの核心に関わるものです。

彼女はこれを、森林土地および資源へのアクセス、保有権、意思決定権における公平性の問題として捉えています。

権利とは、アクセス、利用、所有を含む土地および森林の保有権を指します。一方、公正とは森林の利益の社会的公平および公正な配分を意味します。そして行動とは、ITTOプロジェクトに示されるような、持続可能な森林経営への現実的かつ継続的な関与を意味すると彼女は強調します。

ローズ氏はREFACOFのアプローチを次のように説明しています。

それは、尊厳、相互尊重、そして男女の調和のとれた参加に根ざした体系的変革を目指すジェンダー変革型アプローチです。

彼女は、熱帯林が工業的農業、違法伐採、貧困、そして女性の意思決定参加に対する根強い障壁など、多くの圧力に直面していることを強調しています。しかし同時に、女性こそが解決策の中心であり、ITTOはこれを強力に支援してきたと述べています。

女性は、非木材林産物の持続可能な利用、劣化した土地の回復、アグロフォレストリーの実践における先駆者です。多くの場合、立木を維持しながら生計を創出しています。しかし依然として資金は十分ではありません。彼女は、女性への投資が必要であると強調します。女性は気候行動、貧困削減、そして真に持続可能な森林経営に不可欠だからです。

ITTOの活動は、リサーチ、トレーニング、先住民族の知識の尊重、そして自由で、事前かつ、十分な情報に基づく合意の維持を通じて、包摂的で強靭な市場を支援します。© Kuchil Kaab Archive

メキシコにおける先住民の知識の実践

メキシコのユカタン半島において、クチル・カーブ社の創設者であるドニャ・アンセルマ・チャレ・エウアン氏は、「モンテ」を守る活動に数十年を費やしてきました。モンテとは、単なる森林だけでなく、土地、人々、ミツバチ、そして伝統的農業システムの間に存在する生きた関係性を包含する概念です。

彼女にとって、国際女性デーのテーマは非常に個人的な意味を持ちます。

どこへ行っても、私は常に私たちのものを守ります…私が生きている限り、私の声は多くの女性の声であり続けます。

彼女の企業は、アピスおよびメリポナといったミツバチによる蜂蜜、ならびにマヤの伝統的知識に基づく医療用・化粧品用製品を生産しており、これらは地域におけるITTOプロジェクトの中核を成しています。研修や地域への啓発を通じて、彼女はミツバチ、森林、人間のウェルビーイングのつながりについて他の人々の理解を深めています。

彼女は、幼少期に家庭内で経験したジェンダー差別を含む社会的障壁について率直に語っています。そうした経験が、女性の自信と自己決定を擁護する生涯にわたる活動を形づくりました。

現在、彼女は森林破壊および環境法の執行の弱さを大きな脅威と見なしています。彼女は若い世代に、技術が進歩する一方、先住民の知識体系が長年にわたって持続可能な土地利用を導いてきたことを思い起こさせています。

「テクノロジーの時代が来ている。」と言う人もいます。そうです、それは分かっています。しかしテクノロジーが登場する前から、私たちには知恵がありました。私たちには知恵があるのです。植えるべきものは何か、食べられるものは何かを知っていました…だから前に進まなければなりませんが、破壊してはなりません。人々がミツバチや、癒しのために利用できる植物について学べるよう、私たちは研修を行っています…。

地域レベルでは、彼女はモンテを守るための共同責任を推進し、生計を支える森林土地を売却しないよう各家庭に呼びかけています。また、ミツバチから聖なる樹木に至るまで、森林の生きたシステムを当局がより深く理解し保護することを求め、開発に関する意思決定が生態系の均衡を維持するものであるよう訴えています。

ITTOの市民社会諮問グループは、ジェンダー、森林保有権、生物多様性保全、森林依存民族の権利とニーズといった問題に関する議論において、女性の声を増幅させる重要なプラットフォームです。© Paula Sarigumba/ITTO

公正かつ合法的な木材貿易の推進

オーストラリア農業・水産業・林業省の国際政策担当アシスタント・ディレクターであるカサンドラ・プライス氏は、国際女性デーのテーマをグローバル・ガバナンスの観点から捉えています。

私にとって今年のテーマは、国際森林政策に携わっていく中での志と課題の双方を表しています。また、私たちの仕事は単に木だけの問題ではなく、人々に関わるものであることを思い起こさせてくれます。

彼女は、先住民族および地域社会の権利と役割を認識し、世界的なコミットメントが確実に現場で具体的な成果に結びつくようにする重要性を強調しています。

彼女のキャリアにおける重要な節目の一つは、オーストラリアの違法伐採対策法の改正への貢献でした。これはデューデリジェンス要件を強化し、合法かつ持続可能な木材貿易を促進するものでした。彼女は、意味のある遵守と業界の賛同を得るためには、関係者との関与およびアウトリーチが重要であることを強調しています。また、この改正作業が、少人数ながら非常に有能な女性チームによって実施されたことを誇りに思っていると述べています。

国際熱帯木材理事会(ITTC)第62回会合の議長として、彼女は、変化する国際情勢の中で国際協力が不可欠であると考えています。

今日の変化する国際的文脈において…国際協力はこれまで以上に重要です。

彼女は、信頼を構築し、長期的に持続可能な成果を実現するためには、熱帯林政策、資金、プログラムの初期段階から権利、公平性、説明責任を組み込む必要があると指摘しています。

また、今後の森林政策およびガバナンスにおける女性のリーダーシップの拡大を心強く思っています。

国際林業の未来は、女性が単に制度に参加するだけでなく、それを形づくる役割を果たしているからこそ、より強く、より革新的で、より強靱なものとなっています。

コミットメントを行動へ

「地域や分野を越えたこれら5人の女性は、ジェンダー・エンパワーメントに支えられた権利を中心に据えた包括的な森林経営が抽象的な概念ではないことを示しています。」と、シャーム・サックルITTO事務局長は強調しています。「それは、政策改革、科学研究、革新的アプローチ、地域社会の動員、回復、先住民のリーダーシップ、そして協力に根ざした日々の実践なのです。」

2026年の国際女性デーにあたり、ITTOは彼女たちの重要な役割を称え、ジェンダー平等およびエンパワーメントの推進、包摂的ガバナンスの強化、そして持続可能な熱帯林経営の支援に引き続き取り組んでいきます。

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インタビューご協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。特に、メキシコからの回答の調整に尽力いただいたアディ・エステラ・ラソス・ルイス氏に深く感謝申し上げます。