アジア太平洋地域におけるインパクト創出のための森林ファイナンスの活用

2026年2月2日, バンコク

森林ファイナンスの動員と活用における機会と課題に光を当てるため、ITTOは、アジア太平洋地域の他のパートナーおよび参加者とともに、アジア太平洋森林ファイナンス地域ワークショップに参加しました。© UNFF

国際熱帯木材機関(ITTO)は、2026年1月20日から23日までタイ・バンコクで国連森林フォーラム(UN Forum on Forests: UNFF)が主催したアジア太平洋森林ファイナンス地域ワークショップで、同地域の他のパートナーおよび参加者とともに、森林ファイナンスの動員と活用に関する機会と課題に光を当てました。

森林ファイナンスの緊急性を強調するシャーム・サックルITTO事務局長。森林ファイナンスは、人々、自然、そして気候のすべてのために同時に機能しなければならないと強調しました。© UNFF

森林ファイナンスへのアクセス強化

本ワークショップは、世界的な森林ファイナンスの状況および、多国間、二国間、並びに民間の金融メカニズムによって提供される新たな資金調達機会について、参加者の理解を深めることを目的として開催されました。ワークショップには、アジア太平洋地域の各国代表のほか、世界銀行、緑の気候基金(GCF)、地球環境ファシリティ(GEF)、アジア開発銀行(ADB)、国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国際自然保護連合(IUCN)、森林炭素リーダーシップ・プログラム、BIOFIN、および民間部門の代表が参加しました。

シャーム・サックルITTO事務局長は開会セッションで発言し、森林ファイナンスの必要性がこれまで以上に切迫していると強調しました。サックル事務局長は、森林が気候変動の緩和と適応生態系サービス、人々の生計、および各国の経済発展に多大な貢献をしているにもかかわらず、他分野と比較して森林に向けられる気候資金が極めて少ないことへの失望を示しました。

「森林ファイナンスは、人々、自然、そして気候のすべてのために同時に機能しなければなりません」と、サックル事務局長は述べました。

同氏は、この資金格差の一因として、国際政策レベルにおいて森林が断片的に扱われてきたことを挙げました。また、過去30年間に森林分野に関与する主体が増加した結果、連携や効率性よりも、競争、取組の重複、および森林ファイナンスのさらなる分断が生じている点についても指摘しました。

森林の​​​資源を保全しつつ、具体的な生計改善効果をもたらす森林ファイナンスの活用事例を紹介する、ジェニファー・コンヘITTO森林経営部長。© UNFF

森林ファイナンスを活用するITTOのアプローチ

ワークショップ2日目、サックル事務局長とジェニファー・コンヘITTO森林経営部長は、「インパクト創出のための森林ファイナンスの活用」をテーマに発表を行いました。サックル氏は、ITTOが政策ガイダンス、現地プロジェクトデータおよび統計、並びに能力構築を組み合わせることで、持続可能な森林経営を促進し、追加の資金動員を促していることを説明しました。

ITTOは、森林ファイナンスが森林資源を保全しながら、具体的な生計改善効果をもたらすことを示す複数のプロジェクト事例を紹介しました。

インドネシアでは、ITTOプロジェクトにより、非木材林産物(NTFPs)の合法かつ持続可能な採取に向けた管理計画が強化され、コミュニティ主体の小規模事業体の能力構築が行われました。このプロジェクトは、周辺の保護地域のさらなる劣化を防止しつつ、地域コミュニティに収入創出の機会を提供しました。その後、インドネシア政府は、プロジェクト成果を活用し、地方当局による採取許可の発給能力の強化、事業のインキュベーション、および研修ワークショップや教材作成のための大学への助成を行いました。さらに、インドネシア中央銀行は、コミュニティ協同組合向けに低利融資を導入しました。

「このケーススタディは、国際的な公的資金による投資を基盤として、国内の公的・民間資金がどのように連携し、環境への便益を伴いながら、コミュニティが持続可能な収入を生み出すための環境整備を行えるかを示しています。」と、コンヘ氏は述べました。

参加者はまた、カンボジアの一地方で実施されているITTO支援のマイクロクレジット制度に関する動画を視聴しました。このプロジェクトは、森林に悪影響を与えない生計活動のために低利融資を提供するとともに、そこで得られた収益を活用して、コミュニティによる森林モニタリングおよび保全活動への支払いを可能にしています。

別のITTOの事例では、小規模農業従事者が生産するチークおよびその他の高付加価値木材の市場アクセス改善に焦点が当てられました。この取組は、一次加工の改善や、立木を担保として活用するなどの革新的な金融手法を検討することにより、市場参入の障壁を低減することを目指しています。このアプローチは、小規模農業従事者が短期的な資金需要を満たしつつ伐採サイクルを延ばすことを可能にし、気候にプラスの効果をもたらす拡張可能な投資の基盤を築くものです。

サックル氏は、ITTOプロジェクトが森林ファイナンスにおいてしばしば触媒的な役割を果たしてきたことを強調しました。複数の国で、時に120万米ドル未満という比較的小規模なITTOの投資が、地球環境ファシリティ、世界銀行、開発銀行、各国政府、および民間セクターのパートナーからの、はるかに大規模な追加資金の動員につながっています。© UNFF

連携とカタリティック・ファイナンス

発表ではまた、森林ファイナンス分野におけるITTOのパートナーシップについても紹介しました。例えば、生態系サービスへの支払い(PES)制度における森林の管理者への補償を強調したITTO・FAO共同ポリシーブリーフ、森林保全および経営に好影響を与える財政改革に焦点を当てた世界銀行の刊行物の作成に向けた専門家ワークショップの開催、および、コミュニティ主体の木材・林業事業を通じて気候に関する自然に基づく解決策を推進することを目的としたアジア森林協力機構(AFoCO)との新たな共同イニシアティブが挙げられます。

サックル氏は、ITTOプロジェクトが森林ファイナンスにおいてしばしば触媒的な役割を果たしてきたことを強調しました。複数の国で、時に120万米ドル未満という比較的小規模なITTOの投資が、地球環境ファシリティ、世界銀行、開発銀行、各国政府、および民間セクターのパートナーからの、はるかに大規模な追加資金の動員につながっています。

「ITTOの役割は、加盟国と森林依存コミュニティに持続的な影響をもたらし、より大規模な資金の流れを引き出すことができる的を絞った投資を活用しつつ、政策目標を現場で実践可能かつ金融機関が支援可能な行動へと転換するため各国を支援することです。」