ITTO、APECフォーラムで、持続可能な利用を支えるトレーサビリティ技術のイノベーションへの投資拡大を求める

2024年8月27日

ペルーのリマで開催された第26回APEC 違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT)の集合写真。写真:ペルー国家森林野生動物庁(SERFOR)

2024年8月27日:ITTOの職員は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT)において、木材トレーサビリティに関する創意工夫は数多あるが、これらのイノベーションをさらに発展させ、木材セクターへの導入を促進し、そのようなシステムが財政的に自立できるようにするには、より多くの投資とインセンティブが必要だと語りました。

2024年8月12日から14日、ペルーのリマで、第26回APEC違法伐採及び関連する貿易専門家グループ会合(APEC EGILAT)と、ペルー国家森林野生動物庁(SERFOR)主催の関連ワークショップが開催されました。

革新的なトレーサビリティ技術と木材識別技術は、強固な追跡システムの開発を可能にし、熱帯木材サプライチェーン全体の信頼構築に貢献します。これらのシステムは、林産物の流れに関する信頼性の高い情報を提供することで、持続可能な森林経営、適切な森林ガバナンス、サプライチェーン全体の効率化を支援し、最終的には熱帯木材製品の合法性と持続可能性の保証に役立ちます。

テトラ・ヤヌアリアディITTOプロジェクトマネージャーは、ワークショップ 「APECエコノミーにおけるトレーサビリティと木材産地の合法性保証のための情報システムに関するイノベーション(Innovation in information system in APEC economies for traceability and ensuring the legal origin of timber)」で、ITTOのプロジェクトを通じて、林産物の合法性を保証するための木材トレーサビリティと木材識別のための情報システムをベースにしたアプリケーションが開発されたことについて発表しました。

「このエキサイティングな分野では、技術革新が、透明性、合法性の保証、業務効率の大幅な向上をもたらしています。」とヤヌアリアディ博士は語りました。

ヤヌアリアディ博士は、ブラジル、中国、グアテマラ、パナマで、ITTOプロジェクトを通じて開発されたイノベーションの例を、参加者に紹介しました。

ブラジルでは、森林計画と明確な基準に基づく伐採木の選定を迅速化し、改善するためのソフトウェアを開発することによって、木材生産の管理を強化し、持続可能な森林経営をサポートしました。グアテマラの木材追跡システムは、いくつかの森林関連プロセスを自動化し、対応にかかる時間を最小化し、書式を標準化し、手順を明確化し、データの重複を避け、人的ミスを最小化し、森林担当官の裁量権と官僚主義を制限し、行政職員らが法律で定められた期限を守って要請や申請を処理できるようにしています。

中国では、ITTOの資金提供プロジェクトを通じて、中小の林業企業が一部の輸出市場での調達政策を理解していない現状に対応するとともに、持続可能ではないかたち、または、違法に伐採された熱帯木材を使用することの市場リスクについての彼らの理解を深めました。パナマでは、違法伐採を防止するための森林モニタリング・認証システムを確立し、天然林と人工林からの違法木材の流れを監視し、輸送ルートにおける許可証の発行と出荷のクリアリングを合理化するプロジェクトが実施されました。

第26回APEC EGILATの総会で、ヤヌアリアディ博士は、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムでのプロジェクトを通じて実施している、加盟国の国内市場での持続可能な方法で生産された熱帯木材の使用を支援するITTOの取り組みに関して、最新状況を報告しました。日本政府による資金提供を受けた上記プロジェクトは現在も実施中であり、合法的で持続可能な木材の国内市場をさらに発展させることを目的としており、対象とする範囲は、木材生産および木材製品貿易に関する国家戦略および政策の強化、生産能力の向上、コミュニティ林業企業の能力構築、木材製品の多様化、木材製品の利点に関する消費者の意識向上に及びます。

これらのプロジェクトは、持続可能な世界のための持続可能な木材(Sustainable Wood for a Sustainable World: SW4SW)に対するITTOの貢献の一部であり、持続可能な木材サプライチェーンの価値を高め、その社会的、経済的、環境的利益を強化することを目的とした森林に関する協調パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests: CPF)のメンバーによるイニシアチブのひとつです。持続可能な木材の促進は、ITTOの合法的で持続可能なサプライチェーンのプログラムラインの一部でもあります。

ITTOのプレゼンテーション資料は以下からダウンロードできます。

関連するSDGs

革新的な木材追跡技術と木材識別技術は、森林に関する操業の効率と精度を高めます。

ITTOの様々なプロジェクトでは、森林のバリューチェーンに沿ったトレーサビリティを促進する仕組みを強化することで、林産物のモニタリングを改善しています。

持続可能なかたちで経営された熱帯林と、それに関連するサプライチェーンおよび市場は、森林および土地利用に基づく温室効果ガスの排出を最小限に抑え、森林および長寿命の木材製品への炭素貯留を可能にすることで、気候変動の緩和に貢献します。