ウェビナーで火災管理に関するインドネシアからの教訓を学ぶ

2021年8月6日

インドネシア・カリマンタン島にて、Sungai Awan Kiriコミュニティのメンバーが防火と消火の訓練を受けている。写真撮影:インドネシア環境林業省(Ministry of Environment and Forestry:MOEF)森林・土地火災管理局(Directorate Forest and Land Fire Management)

横浜、202186日:インドネシアでは1997年から1998年と2015年にも壊滅的な森林火災が発生し、前者では970万ヘクタール、後者では260万ヘクタールが焼失しました。以降、インドネシアでの火災発生数は減少しており、2020年の焼失面積は30万ヘクタール以下に止まりました。ITTOのプロジェクトの一環で開催されたウェビナーでは、火災予防に住民の参画を得ることの重要性といったインドネシアからの教訓を探りました。

「東南アジアの森林火災:インドネシアの政策と研究開発(Forest Fires in Southeast Asia: Policy and Research Development in Indonesia)」と題した本ウェビナーは2021年7月21日に開催され、東南アジアを中心に日本、韓国及びその他の地域からおよそ200名が参加しました。本ウェビナーは、ボゴール農科大学(Bogor Agricultural University)内にある東南アジア地域火災管理資源センター(Regional Fire Management Resource Center-Southeast Asia)の協力を得て、ITTOがインドネシア環境林業省(Ministry of Environment and Forestry:MOEF)気候変動総局(Directorate General of Climate Change)と共同開催したものです。日本政府の資金協力を受けているITTOプロジェクト「アマゾン地域とインドネシアの大規模森林火災に対する緊急援助(Emergency Support to Large-scale Forest Fires in the Amazon Region and Indonesia)」が後援する火災に関するウェビナーシリーズの第一回であり、東南アジアの森林火災をテーマとしました。

登壇者は、防火、消火及び発火後管理にかかる政策や戦略を策定する上で地域住民及びその他の利害関係者の関与が極めて重要である点で一致しました。鍵となるのは、住民、民間セクター、NGOそして国外のパートナーの参加を促し、これを拡大させるアプローチです。利害関係者間の相乗効果と連携を強化しようとするジョコ大統領の方針により、インドネシアは26州に「火災コミュニティ(fire communities)」を設立し、7州の40村に「火災対策コミュニティパラリーガル(fire care community paralegals)」を置いています。

ラクシミ・デワンティ(Laksmi Dhewanthi)MOEF気候変動総局長は、開会の挨拶で、課題は未だ山積していることから、森林火災を減らそうという昨今の機運は継続させなければなりません、と述べました。

「火災件数を今以上に抑えるには、火災予防の取組を強化する必要があります。インドネシアは煙霧のない東南アジア諸国連合(ASEAN)の実現に力を注いでいますが、そうすることで、煙霧害が軽減され得るのです。」

バサール・マヌラン(Basar Manulangm) MOEF森林・土地火災管理局長は、森林・土地火災予防にかかるインドネシアの政策やプログラムについて発表しました。さらに、地域住民は森林・土地火災に対抗する際の最善線に立つという重要な役割を務める点を強調しました。

著名な森林火災科学者であるバンバン・ヘロ・サハージョ(Bambang Hero Saharjo)ボゴール農科大学教授からは、十分な理解を得てリスクを減らすためには森林火災の取組に置いて科学に基づく現場実験の必要もある、との見解が述べられました。

本ウェビナーの参加者は、森林火災管理の改善には、住民参加と生態系の強靭性を伴いつつ、首尾一貫し、相乗的で十分調整された政策を実施することが重要である点で一致しました。

閉会挨拶では、テトラ・ヤヌアリアディITTOプロジェクトマネージャーが、登壇者と参加者によって有益な議論が行われたことに感謝の意を表しました。加えて、参加者が新しい知識を取得し、関心ある事柄について見聞を広げ、森林火災対策分野で一層取組む課題を見出せたことを期待すると述べました。

次回のウェビナーは2021年8月26日に開催予定です。ASEAN諸国の森林火災予防に関する行動を議論します。2022年1月までの毎月、ITTOプロジェクトとして森林火災管理に関する公開ウェビナーを開催します。詳細についてはITTOにお問い合わせください

ウェビナーの録画を視聴する(英語)

 

関連するSDGs

統合型火災管理における国と地方の能力が向上することで、森林火災や土地火災を減らすことができ、温室効果ガスの削減という便益も期待できます。

山火事が減少すれば、環境、生物多様性、人の健康にもプラスの効果がもたらされます。