マングローブ林

マダガスカルのMahavavy-Kinkony複合湿地で地元の人々がマングローブを再生させるために繁殖体を植えている様子。ITTOは熱帯地方におけるマングローブ林資源の保全、再生、持続可能な経営と利用を推進している。写真提供: Asity

マングローブは地球上で最も生産的な生態系のひとつです。耐塩性のある木々、低木、ヤシの木、シダなどによって地域の漁業を維持し、生物多様性を保全し、世界中のあらゆる生態系の中でも最高密度で炭素貯蔵ができるなど、沿岸コミュニティーの生活に欠かせない多くの財と環境サービスを提供しています。マングローブは高潮や様々な脅威に対して沿岸地域が抱える脆弱性を軽減するとともに、沈降と栄養素の取り込みを通じて河口域や沿岸の水質を調整しています。
 
マングローブ林は何世紀にも渡り、魚や狩猟、木材燃料、薬、タンニンや家畜の飼料の供給源として沿岸にすむ人々の伝統文化を支えてきました。そして紙、合板、木炭および建設用の原材料の供給源として使用される産業の発展にも貢献してきました。

マングローブ林は全世界で約1500万ヘクタールの面積を有していますが、1980年以降、総面積が少なくとも20%減少し、脅威にさらされています。少なくとも4分の1のマングローブ林は管理が行き届いていないことと開発による沿岸地域の土地の需要増加の影響で「中程度からかなり深刻なレベルで」劣化しています 。したがって、世界的な最優先課題はマングローブの喪失を阻止し、劣化したマングローブ生態系を再生させることにあります。

エビデンスとケーススタディーにより、 十分な投資がなされれば持続可能なマングローブ林経営が炭素吸収源の保護と強化に重要な役割を果たせること、そして気候変動への適応を可能にできることが示されています。持続可能なマングローブ林経営は、国連の持続可能な開発目標(SDG)の5(「ジェンダー平等を実現しよう」)、13(「気候変動に具体的な対策を」)、14(「海の豊かさを守ろう」)、15(「陸の豊かさも守ろう」)を達成するために重要です。 マングローブが陸と海がつながる流域で重要な役割を果たすためには、地域住民、とりわけ女性がその成功の鍵を握っています。
 
2017年4月にはITTO、インドネシア政府及びバリ州、そして国際マングローブ生態系学会により「持続可能なマングローブ林生態系に関する国際会議」が開催されました。この中で作成したバリ行動宣言で、残存する世界のマングローブ林生態系の保全、再生、保護及び持続可能な経営と利用を確実にするために全ステークホルダーに更なる努力をしてくことを促しました。
 
ITTOは熱帯地方におけるマングローブ林資源の保全、修復および持続可能な経営と利用を推進しています。SDGs及び気候変動に関するパリ協定について、マングローブ林の修復と持続可能な経営が果たせる役割を最大限に引き出せるように実施する政策立案やプロジェクトを通じて、この推進活動が行われます。

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