生物多様性と越境保全

メキシコ、ランカンドンの熱帯雨林で身をかがめるジャガー。ITTOは加盟国と協力しながら、生物多様性の保全と持続可能な利用、そして森林を中心に生活する人々の生計手段を提供するために、政策とプロジェクトを開発して事業を展開している。 写真提供: M. Alcalde & I. Huerta/CONAFOR

地球全体の面積に占める熱帯林の面積はわずかです。しかしながらそこには世界の陸生植物や動物種の半分以上が生息していると考えられています。 この生物多様性によって森林が健全で生産性が維持できるなどの多くの有用な機能を果たしています。熱帯林で行われる伐採は生物多様性に対する主要な脅威としてしばしば取り上げられていますが、管理が行き届いた森林が木材生産に使用されるのであれば、それは生物多様性の保全に対して大きな役目を担っているのだということが証明されています。
 
ITTOは活動を開始して以来、この豊かな生物多様性を保全しながら森林に依存する人々に経済的機会を創出することを目的とした政策の策定とプロジェクトを実行するために、加盟国と協力してきました。
1990年代初頭には国際自然保護連合(IUCN)と協力して、熱帯生産林における生物多様性保全のためのITTOガイドラインを作成しました。この政策文書は『熱帯木材生産林における生物多様性の保全と持続可能な利用のためのITTO / IUCNガイドライン』(英語、PDFとして2009年に改訂版が発行されています。
 
このガイドラインでは、生物多様性保全を国の森林政策の目標にする理由を述べ、保全地域と天然及び植林された生産林を統合する恒久林地域を確立する方法を示しています。 また、野生生物が保護区域間を移動できるように、保護区を天然林の回廊と結び付けるなど、景観レベルでの計画に関するアドバイスも提供しています。フィールドレベルでは、管理活動の間で行われる生物多様性保全を最大限に実施するための原則と行動について提示しています。
 
ITTOは生物多様性保全に対して二重のアプローチを取っています。 はじめに森林経営の改善を通じて、森林製品およびサービス、特に木材の抽出に関連した生物多様性の損失を減少させることを目的としています。 次に加盟国が保護地域の管理ができるように支援しています。とりわけ、ITTOでは一千万ヘクタール以上の越境保全地域の管理を改善する取り組みを支援してきており、この越境保全地域では2カ国以上が協力し、生態学的に重要な地域の管理、保全及び持続可能な利用に対する活動を実施しています。

 

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